1987 Fiscal Year Annual Research Report
希土類元素化合物と高分子物質とをハイブリッド化した新しい発光材料に関する研究
Project/Area Number |
62550565
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
足立 吟也 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029080)
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Keywords | ユウロピウム / 発光 / けい光 / 高分子 / クラウン / ポリクラウン / メタクリル酸メチル |
Research Abstract |
2価のユウロピウムイオン(Eu^<2+>)は, 4f-5d間の遷移にもとづく青色発光を示す. 特に15・クラウン・5配位小とするメタノール溶液はきわめて強い発光を示す. ところがこのものは酸化されやすいこと, 溶液であること等, 材料としてはきわめて不満足なものである. そこで本研究ではこのクラウン錯体を高分子化して上記の欠点を克服することを試みた. 2価のユウロピウムイオンとポリメタクリロイルオキシメチル・15・クラウン(PMA・15・C・5)およびメタクリロイルオキシメチル・15・クラウン・5-メタクリル酸メチル共重合体(MA-15・C・5-MMA)錯体を合成し, その紫外線励起による発光を調べた. いずれも435nmにピークをもつ強い発光を示した. 高分D子の合成は木村・庄野の方法によった. 各錯体の発光強度はCawo_4・Pb(NBS1D026)を100とした場合、Eu^<2+>-PMA・15・C・5では6.6、Eu^2+1-MA-15・C・5-MMAでは23となり、きわめて大きい。前者でのユウロピウム濃度は約1D2重量%で、クラウン環5.1個あたり1個のEu^^2を、また後者では約1重量%で、同じDく10.7個あたり1個のEu^<2+>をふくんでいる。また、Eu^<2+>とともにSDr<2+>をも配位させたEu^2+>-Sr^2混合錯体では、その発光強度は、PMA-15・C・5系では約10、MA-15・C・5-MMA系では約18%となった。Eu^2単独の場合、高分子錯体であっても、空気名の酸素や水分の影響を受けて酸化されやすいDが、Sr^12+1を共存させると、耐酸化性を改善することができた。 上で述べた錯体はいずれの場合も、1個のEu^12に対し、複数個、おそらく3個のクラウン環が配位していると思われる。またMA-15・C・5-MMAでは錯体は樹脂状で、成膜など、形態を変化させるのに容易な性質をもっている。
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[Publications] 足立吟也, 中村宏文, 三島隆之, 塩川二朗: Chemistry Express. 2. 341-344 (1987)
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[Publications] 足立吟也, 中村宏文, 三島隆之, 塩川二朗: Chemistry Express. 2. 727-730 (1987)
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[Publications] 足立吟也, 高橋章, 三島隆之, 中村宏文, 塩川二朗: Chemistry Express. 3. 97-100 (1988)