1987 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチアナ属植物をモデルとした異数性植物の育種への応用
Project/Area Number |
62560003
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
新関 稔 弘前大学, 農学部, 助教授 (40001490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥田野 豊 弘前大学, 教育学部, 助教授 (90133850)
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Keywords | 過剰染色体 / 一次トリゾーミック / Nicctiana sylvestris / 未熟花粉 / 遅延受粉 |
Research Abstract |
Nicotiana sylvestrisの一次トリゾーミックの系統であるB220は一本の付隨染色体を余分に持つことによって花器や葉の著しい増大が見られ, 他のトリゾーミック系統と異なり染色体レベルのバランスの良い系統であることが明らかとなった. しかしこの一本の過剰染色体の次世代への伝達率は非常に低く観賞用植物などとしての農業的有用性は低い. このB220系統を葯培養して得られた個体群を分析するとnとn+1花粉起源の個体が約1対1で生ずることから過剰染色体の減数分裂中における消失は無いものと考えられるが, 2n×2n+1における過剰染色体の伝達率は13.5%であった. これはn+1花粉が開葯時に未熟なため, 完熟のn花粉より受精能力が低いためと推定された. この推定は開葯後2日目の花粉を遅延受粉することによって過剰染色体の伝達率を22.5%に増大させることが出来たことで証拠づけられた. また開葯時の花粉を水または5〜20%の砂糖水に浮遊さた80×9で遠心したところ, 沈澱花粉と上清中の花粉の平均直径はそれぞれ32.1μmと29.5μmであった. そこでn+1花粉は未熟なため軽くさらに小さいものと考え, 30および25μmのナイロンメッシュで開葯時の小花粉を選抜し, 2n個体に受精したところ余剰染色体の伝達率は51.9および70.4%と増加した. すなわちB220トリゾーミック個体の出現率を小花粉を選抜し受粉することによって最高70.4%まで高めることが可能であることが実証された. これは農業的に有用なトリゾーミック植物の実際利用の種子生産にかなり十分な率と云えるであろう. さらに過剰染色体中の花器および葉を増大させる遺伝子あるいは染色体部位をX線照射によって他染色体へ転座させ固定させる試みにおいて, 線量は6kR以下が望ましいことが判明したが, 目的の転座系統を得るためには当初の考えよりかなり大規模な実験が必要であることが本年度の実験で予想された.
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Research Products
(2 results)