1989 Fiscal Year Annual Research Report
コウライシバに発生するピシウム病の発生生態と防除に関する研究
Project/Area Number |
62560045
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
谷 利一 香川大学, 農学部, 教授 (50035961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 拓朗 香川大学, 農学部, 助教授 (80133164)
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Keywords | コウライシバ / 春はげ症 / フザリウム菌 / ベノミル / ピシウム菌 / メタラキシル / 土壌物理性 |
Research Abstract |
ゴルフ場のコウライグリ-ンには、ピシウム菌の関与する2種の病害、すなわち不揃症(仮称)と春はげ症が発生する。前者は萌芽直後より、後者は萌芽前よりパッチが現れる点で異なる。不揃症については、すでにPyt-hium graminicola(Pg)とP.vanterpoolii(Pv)に起因し、2月下旬のメタラキシル剤処理によって完全に防除可能であることが判明した。一方、春はげ症については、Pg,Pvが同様の時期に高頻度で分離されるものの、メタラキシル処理では完治に到らなかった。そこで、再度、病原菌の継続的な分離を行い、本症の発生主因を明らかにするとともに防除方法の検討を行った。また、本症の発生は土壌条件と関係が深いと推定されているため、本症常発グリ-ンの土壌特性を調査した。(1)春はげ症の病因と防除方法の確立:本症発生グリ-ンから病原菌の分離を行った。11月〜12月のコウライシバの休眠期にフザリウム菌が、5月の萌芽後期にピシウム菌がそれぞれ高頻度に分離された。分離フザリウム菌はコロニ-タイプから3種類に類別された。ノシバ子苗を用いた接種試験によって、そのうちの2種に強い病原性が認められた。本症発生グリ-ンにおいて、11月のベノミル剤処理と5月のメタラキシル剤処理は高い防除効果を示した。以上より、本症は休眠期前後のフザリウム菌、萌芽後期のピシウム菌の複合感染によるものであると結論された。フザリウム菌の同定は現在検討中である。ピシウム菌については、分離頻度、病原性より前述のPg,Pvによると考えられる。(2)春はげ症発生と土壌条件の関係:3ヶ所のゴルフ場の本症発生グリ-ンの土壌物理性(三相分布および透水係数)について調査を行った。その結果、病斑部は健全部に比べて土壌の液相率が高く、気相率が低い傾向が認められた。土壌条件は副次的な発生要因となっており、通気透水性の悪い土壌条件で発生が助長されることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 谷利一: "コウライグリ-ンにおける不揃症(仮称)の病因と殺菌剤による防除" 芝草研究. 17. 39-48 (1988)
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[Publications] 増田拓朗: "ピシウム性春はげ症(仮称)の発生したコウライグリ-ンにおける土壌物理性" 芝草研究. 20. (1991)
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[Publications] 谷利一: "コウライグリ-ンにおけるピシウム性春はげ症(仮称)の病因と殺菌剤による防除" 芝草研究. 20. (1991)