1988 Fiscal Year Annual Research Report
北海道西岸沖合に来遊するスケトウダラの魚群構造と回遊に関する研究
Project/Area Number |
62560181
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前田 辰昭 北海道大学, 水産学部, 教授 (00001595)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 省吾 北海道大学, 水産学部, 助手 (60179421)
高谷 敏邦 北海道大学, 水産学部, 助手 (80188979)
高橋 豊美 北海道大学, 水産学部, 助教授 (40002349)
|
Keywords | スケトウダラ / 日本海北部 / 海況 / 魚群の分布回遊 / 体長組成 / 生息深度 |
Research Abstract |
北海道の後志および檜山沿岸に産卵のため来遊するスケトウダラ魚群の魚群構造と回遊についての研究は、本年度当初計画通り実施された。 1.調査は昭和63年4月と10月に北海道の後志、檜山、渡島および青森県の日本海側で行われ、水温、塩分、動物プランクトンなどの環境資料の集収と、航走中に24KHzの魚探を作動させてスケトウダラ魚群の分布域と分布層を観察した。また魚群がみられた地点では中層トロールによる漁獲試験と標本採集をした。その結果は次の通りである。 (1).4月の魚群は100〜300m層に分布しているが、沿岸の産卵場から次第に沖合に回遊し、その範囲は沿岸域から日本海中央部にも達している。しかし、対島暖流水と日本海亜寒帯水との境界域に当る檜山沖合の奥尻堆から渡島大島、小島には飼料プランクトンが多く、そのため密密群がみられた。 (2).10月には産卵期の接近に伴って、魚群は沖合から次第に沿岸の陸棚付近に回遊して濃密群を形成している。この時期の分布水深は水温0.5°C前後の400〜500m層であるが、これは飼料プランクトンの分布層と一致している。 2.魚群の体長組成は4月には30〜34cm、10月にはそれが成長して32〜35cmになっているものが卓越して出現している。これは昭和59年に発生した満4才魚で、卓越年級であることが明らかになり、今後の資源量の増大を支える重要な年級群で、今年、明年の豊漁が期待される。 3.標識放流は平成元年2月25日に檜山熊石漁協の協力で、4隻の漁船で475尾を放流した。これまでの標識魚の再捕は夏期には日本海を南下して富山湾、新潟沖合でみられ、また津軽海峡でも再捕されている。しかし、産卵期には放流地点の檜山沖合でのみ再捕され、他の産卵場では発見されない。これは当海域魚群の回帰性の強さを示している。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 前田辰昭: 北海道大学水産学部研究景報. 39(4). 216-229 (1988)
-
[Publications] 前田辰昭: 水産海洋研究. 53(1). 38-43 (1989)
-
[Publications] 前田辰昭: 昭和63年度漁業資源研究会議 北日本底魚部会会議報告書.