Research Abstract |
1.不整地走行車両には多様な形態が考えられるが, 新たな試みの一つとして, 車両相互を左右・上下方向に屈曲できる2連節部を有する3両連結車を考案, 試作した. 連節部は2本の油圧シリンダと1個の自在継手によって構成し, シリンダの伸縮によって左右方向のかじ取り及び上下方向の車体屈折を行う. 走行部も油圧駆動とし, 各車輪はそれぞれ別個の油圧モーターによって独立駆動される. 本年度はブレーキ系統を付加し, 車輪の油圧駆動系回路, 操縦制御用電装回路を改善, 整備して本機の性能及び安定性の向上に努めた. 2.本機の走行, けん引及び登坂性能を測定した. これらは, 各車輪の駆動方式即ち直列駆動か並列駆動かによって異なり, 前者の場合最高速度8.5km/hr, 最大けん引力280kgf, 登坂角約20°となる. 後者に切換えると各車輪の駆動力が倍増し, 最大けん引力及び登坂角はそれぞれ510kgf, 34°と増加するが, 走行速度は1/2に低下する. 3.複数の連節部を有するため, 本機の運転は複雑となる. 操縦の簡素化, 自動化を図り, 後方連節部屈曲角を前方のそれにならわせるコンピュータアシスト制御法を検討した. これには, (1)後方連節部屈曲角の制御, (2)連節部それぞれのシリンダ変位目標値の計算, の2つの機能を持たせ, これに関与する計算式及び計算プログラムを作成, 誤差検討を行った. 同時にマイクロコンピュータ入出力インタフェースを作製し, 制御動作に関する基礎データを収集した. 4.溝, 障害物及び段差乗越え時又は斜面, 等高線走行時の各車輪下における静的荷重分布を測定し, その走行性, 作業性, 安定性に関する本機の特性を連節部を持たない一体車両の場合と比較し, その長短所を明らかにした. また本機の転倒限界についても測定, 考察し有利性を明らかにした.
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