1988 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍性及び膜作用性蛋白質機能発現機構の人工脂質膜(リポソーム)による解析
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62570112
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉村 哲郎 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (30035472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前澤 重禮 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助手 (70173698)
曽根 三郎 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (40145024)
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Keywords | 抗腫瘍作用 / 膜損傷作用 / 膜融合 / 膜間脂質分子交換 / 抗腫瘍性サイトカイン / クラスリン / 燐脂質移送蛋白質 / リポソーム |
Research Abstract |
研究代表者は、ヒト組織細胞中に存在する生命維持・疾病予防に主要な役割を担う蛋白質のin viroにおける作用機序が明確でない点を踏まえ、in viroの膜系をin vitroでmimicする人工脂質膜(リポソーム)系の導入を計画し、研究分担者と強力して本年度は次の点を明らかにした。 1.腫瘍壊死因子(TNF)及びインターフェロン(IFN)作用の分子論的機序の解析、研究代表者は、TNF:IFN-α、IFN-γがリポソーム膜損傷作用をもつことを見出し、さらに、これらサイトカインの膜作用性に対する膜脂質組成の影響について検討を加えた。その結果、IFN-γの膜損傷作用が膜内ホスファチジルセリン(PS)により最も有効に制御されていることを見出し、膜内PSが腫瘍細胞のサイトカインに対する感受性を制御している可能性を示唆した(BBA:投稿中)。 2.受容体仲介エンドサイトーシス及び細胞内物質輸送におけるクラスリンの機能発現機構の解析、クラスリンのリポソーム膜融合機構に関する研究をさらに推し進め、クラスリン分子の溶液内における分子形態を明らかにすると共に(Bichemistory,投稿中)、クラスリン分子内の膜融合活性発現領域を決定した。そして、これらの結果ちもとづき、クラスリンの細胞内膜系の膜融合に対する役割を考察した。 3.燐脂質移送蛋白質による膜間脂質分子交換機能の解析、燐脂質移送蛋白質による膜間脂質分子交換反応についてリポソーム膜システムを用いて解析し、脂質分子交換反応に対する一般的反応モデルを打ち立て、実験的に証明した(ABB、1988)。このモデルは、これまでの研究において生じていた種々の問題点を解決すると同時に、脂質分子交換反応に対する本蛋白質の膜結合強度、膜の脂質組成、外的条件等の影響を定量的に把握することを可能にした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tetsuro Yoshimura: Biochemistry International. 17. 1157-1163 (1988)
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[Publications] Tetsuro Yoshimura: Archives of Biochemistry and Biophysics. 266. 299-312 (1988)
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[Publications] Shigenori Maezawa: Biochemistry. 28. (1989)
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[Publications] Tetsuro Yoshimura: Biochimica et Biophysica Acta. (1989)
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[Publications] Tesuro Yoshimura: Biochemistry. (1989)
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[Publications] 吉村哲郎: "生体コロイド研究法:膜融合解析" 広川書店, (1989)
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[Publications] Tesuro Yoshimura: "Proceedings of the 2nd International Conference on TNF and Related Cytokines" Karger Pub., (1989)