1987 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンD依存性くる病II型の病態および治療に関する研究
Project/Area Number |
62570428
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
武田 英二 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (00144973)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 泰弘 徳島大学, 医学部, 教授 (20035471)
|
Keywords | 先天性代謝異常症症 / ビタミンD依存性くる病II型 / ビタミンD代謝産物 |
Research Abstract |
1.25(OH)_2Dの受容体を含めた作用経路の異常による禿頭を伴ったビタミンD依存性くる病II型の3症例に新しい試みとして1α(OH)D_3の大量投与を行った. 2症例では3μg/kg/日の1α(OH)D_3の長期服用によりくる病が改善治癒した. 治療前には著しい低値を示した血中24.25(OH)_2D濃度は増加し正常化した. 一方6μg/kg/日の1α(OH)D_3の服用を要した1症例では血中24.25(OH)_2D濃度は低値が持続した. 24.25(OH)_2Dは腎の24水酸化酵素によって生成されるが, 1.25(OH)_2Dがその受容体を介して本酵素を誘導し, 24.25(OH)_2D生成を促進することが知られている. したがって24.25(OH)_2D濃度は作用している受容体量を示していると考えられるので治療の指針として有用であると考えられる. また24.25(OH)_2D濃度が増加した2症例では, 治療に伴って受容体が改善することが示唆された. PHA刺激リンパ球には1.25(OH)_2Dの受容体が存在し, 1.25(OH)_2DによりDNA合成能は阻害される. しかし患者のリンパ球では阻害されない. したがってリンパ球にも1.25(OH)_2Dの作用機構が存在しており, リンパ球を用いて簡便に, また迅速に診断することが可能になった. そこで患者のリンパ球を治療経過に伴って採取し, 1.25(OH)_2D_3によるPHA刺激リンパ球のDNA合成能におよぼす影響について検討した. くる病の改善および血中24.25(OH)_2D濃度の増加は認められたがDNA合成能は阻害されなかった. このことから遺伝的な障害は1α(OH)D_3によっても改善してないことが示唆された. したがって1α(OH)D_3の作用機序として受容体を介さない機序も検索することが必要であると思われる.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 武田英二: 小児科診療. 50. 2557-2561 (1987)
-
[Publications] Takeda Eiji: 80. 97-101 (1987)
-
[Publications] 黒田泰弘: ホルモンと臨床. 35(増刊号). 169-172 (1987)
-
[Publications] 武田英二: "小児科の進歩" 診断と治療社, 3 (1988)