1988 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎に合併する大腸癌、異型上皮の組織発生に関する核DNA定量による解析
Project/Area Number |
62570593
|
Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 秀雄 東京大学, 医学部, 助手 (00164385)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 公孝 東京大学, 医学部第1外科, 医員 (60221321)
正木 忠彦 東京大学, 医学部第1外科, 医員 (30238894)
長島 郁雄 東京大学, 医学部第1外科, 助手 (90202423)
阿川 千一郎 東京大学, 医学部第1外科, 助手 (00175788)
|
Keywords | 顕微蛍光測光法 / 潰瘍性大腸炎 / DNA / Aneuploid / Polyploid / Surueillance colonoscopy |
Research Abstract |
1)方法の確立。顕微蛍光側光、切片法で核DNA量の解析を行う際の切片の最適の厚さの評価を、潰瘍性大腸炎(UC)25病変、一般の大腸癌10病変について行った。4、7、10μの各切片法を同一標本から細胞単離法の結果と比べた。ploidyについてはどの切片法も細胞単離法と良好な一致をみた。6C以上の細胞(polyploid cells)の出現については7μ切片法のみが細胞単離法と良く一致した。以上の結果よりUCに合併する癌、dysplasiaの核DNA定量による検討のための方法として7μ切片法が最良と考えられ、必要に応じて細胞単離法を追加してみるのが良いということが明らかになった。 2)診断への応用。1)で確立された方法のもとに、UCに合併した癌、dysplasiaについてDNAの測定を行った。大腸癌を合併した6症例を含むUC60症例、100病変が対象とされたが、そのうち癌、dysplasia(30病変)の77%にaneuploidあるいはpolyploidを認めた。non-dysplasticな病変(53病変)の94%はisploidであり、dysplasticな病変との間で有意差を認めた。癌、dysplasiaでは背景正常粘膜の36%がpolyploidであった。non-dysplasticな活動性病変は全てdipolidであり、非活動性病変の10%はpolyploidであった。polyploid cellsの出現率は異型度と良い相関を示し、dysplasiaの観客的な把握の参考となり得ると思われた。 3)今後の研究。1987年1月より53のuC症例に対しprospectiveに核DNA量の測定を行った。この中からaneuploid2症例(3.8%)、polyploid6症例(11.3%)が見い出された。現在これらの症例に対し、6か月毎のsurueillance colonoscopyを実施しているが、今後の結果により、high risk群に対する、核DNA量の測定の有用性が明らかになってくるものと期待される。
|
-
[Publications] 正木忠彦 他: 胃と腸. 24. (1989)
-
[Publications] 正木忠彦 他: 日本外科学会雑誌. 89. 1315 (1988)
-
[Publications] 鈴木公孝 他: 日本大腸肛門病学会雑誌.
-
[Publications] 鈴木公孝 他: 日本消化器病学会雑誌.