1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570831
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉山 勝三 岡山大学, 歯学部, 助教授 (30032890)
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Keywords | ヒト唾液 / 高ヒスチジン含有ペプチド / ヒスタミン遊離 / 抗エンドトキシン |
Research Abstract |
1.ヒト唾液中の高ヒスチジン含有ペプチド(ヒスタチン類)の精製 先に報告した精製法は、イオン交換、ゲル濾過および高速液クロ法(HPLC)によるものであるが、今回はこれを改良し、迅速に分離、精製する方法を開発した。クエン酸刺激によって得た唾液をpH3-4に調整100℃、5分間加熱した後、ヘパリンゲルのカラムを用いて分画した。各画分は更にHPLCで精製した。得られた総ヒスタチン量は唾液100ml当り約6mgであった。精製したヒスタチン類についてアミノ酸組成および一次構造を決定した。その結果、これらはアミノ酸残基38、32および24分子量はそれぞれ4929、4063、3037であるヒスタチン1.3および5に相当するペプチドであった。これらペプチドにはそれぞれヒスチジン7残基を含有していた。 2.ヒスタチン類によるヒスタミン遊離の機構 ヒスタチン3と5は同程度の強さ(ED_<50>=13μM)でヒスタミンを遊離した。一方ヒスタチンのED_<50>は100μMであった。これらヒスタチンによるヒスタミン遊離反応は温度に依存し、pHの中性から酸性側で著明におこった。温度37℃では10秒以内に完了し、このヒスタミン遊離は細胞内の乳酸脱水素酵素の遊離は伴わなかった。従って開口分泌様式によるものと考えられる。 3.抗エンドトキシン作用 1)カブトガニの血球抽出液を用いたLimulus testにおいてヒスタチン類は内毒素(LPS)の作用に拮抗した。2)LPSによる補体活性化をヒスタチン類は阻止した。3)種々のLPSに対してヒスタチン類はグル内沈降物を形成した。以上の成績からヒト唾液中に存在するヒスタチン類は口腔内の最近のLPS部位に結合し、殺、静菌的に働いていること、および口腔内の炎症の過程に何らかの役割をしていることが強く示唆された。
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Research Products
(2 results)