1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62580038
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
橋詰 弘雄 東京工業大学, 工業材料研究所, 助教授 (10011123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿竹 徹 東京工業大学, 工業材料研究所, 助教授 (30028229)
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Keywords | バリウム・ビスマス・オキサイド / ペロブスカイト類似構造 / 酸素不定比性 / ビスマス陽イオンの価電状態 / 高温結晶構造 / 中性子線 / X線粉末回折 / 相転移 / リートベルト解析 |
Research Abstract |
温度と酸素ガス分圧を制御した条件で不定比酸化物BaBiO_<3-x>の粉末性子線およびX線回折データを「その場」収集し、リートベルト法でプロフィル解析することにより、この物質の高温結晶構造について新しい知見を得た。まず、室温で酸素欠損をほとんど含まないBaBiO_3試料から得た中性子線回折データを回折したところ、従来の研究と非常に良く一致する結晶構造が得られた。次に、900KのBaBiO_3の中性子線データを解析したところ、結晶は立法ペロブスカイト構造でありOイオンが顕著な異方性熱振動をしていることが分かった。回折データにはBi^<3+>とBi^<5+>の秩序配列を示す証拠は認められない。結晶は微細な領域に分かれ、各分域内ではBi^<3+>とBi^<5+>が秩序配列しているが、分域が双晶を形成していると考えられる。酸素欠損を含むBaBiO_<3-x>については、温度範囲1010〜1075Kの結晶構造をX線回折法で解析した。その結果、分圧1kPaの酸素ガスと平衡状態にあるBaBiO_<2.99>とBaBiO_<2.8>はいづれも単一相ではなく、立方ペロブスカイト構造と擬正方構造の2相を含むことが分かった。後者の正方構造は前者の正方構造と同一ではなく、僅かに大きい単位格子をもつ。熱重量実験から求められた相図によれば、BaBiO_<2.99>は相I、BaBiO_<2.8>は相IIに属する。従来単一相とされていたこれらの相がともに2つの構造を含むことが明らかになった。いづれの相においても結晶はミクロな分域構造を取っていると考えられる。本研究は、新しい実験技術開発の点でも成果を挙げた。円筒形位置敏感検出器を用いたX線粉末回折計が、プロフィル解析に適した高品質の粉末データを短時間に与えることを示した。また、高エネルギー物理学研究所ブースタ利用施設の中性子線粉末回折計HRPで高温試料のデータを収集したのは、本研究が最初である。
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[Publications] I.Minato: Report RLEMTIT(Toyo Inst.Tech.). 12. 33-45 (1988)
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[Publications] A.Yamanaka: KENS Report(National Lab.for High-Energy Phys.). VII. 36-37 (1989)
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[Publications] H.Hashizume: Rev.Sci.Instrum.(1989)
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[Publications] H.Kusuhara: Jpn.J.Appl.Phys.(1989)