Research Abstract |
本研究の目的は, 統計的調査によって, わが国における一般成人の「スポーツと社会階層」との関係を明らかにし, その一般理論を構築することにある. 研究1年目の今年度は, 主に, 先行研究の検討, 研究枠組の設定, 調査票の作製, 本調査の実施に当てられた. 本研究では, 一般成人を研究対象としたことから, 運動やスポーツを比較的手軽にできる運動(4グループ), 野外スポーツ, 競技的スポーツの3種類6グループに分けた. また, 直接的なスポーツ参与ばかりでなく, 関節的なスポーツ参与やスポーツ評価・態度なども被説明変数として調査に組入れた. そして, このようなスホーツ参与に影響を与える要因, 説明変数として, 生活価値観, 過去のスポーツ経験, ライフステージ, 社会階層(具体的には社会的地位)を取上げ, 調査票を作製した. 本調査では, 人口規模及び産業構造を参考に, 宮城県あるいは東北地方を代表すると思われる宮城県内4市(泉市, 石巻市, 気仙沼市, 角田市)を調査地域として選定した. 4市の選挙人名簿より, 70歳以上の者を除き, それぞれ有権者の1%の調査対象者, 計2491名を無作為に抽出し, 昭和62年11月下旬から12月下旬にかけて, 郵送法により本調査を実施した. 学生を除く有効回収数(率)は881(35.4%)であった. 職業威信, 学歴, 所得の基本的地位変数, 及び生活様式を加えた4つの指標をクラスター分析した結果, 調査対象者は6つの階層クラスターに分類できた. これらは日本社会の上層及び下層とみられる階層, ならびにその中間の4階層クラスターである. 振動実施と階層クラスターとの間には明らかな差がみられ, 下層クラスター成員はいずれの運動・スポーツにおいてもその実施率は低かった. 上層クラスターの成員の実施率は高く, 特に施設を用いる運動や野外スポーツで顕著であった.
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