1988 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキシダーゼのヘム周辺構造と反応機構・生理機能との関係
Project/Area Number |
62580107
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Research Institution | Faculty of Pharmaceutical Sciences, Chiba University |
Principal Investigator |
細谷 東一郎 千葉大学, 薬学部, 教授 (10019648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 征三 日本女子大学, 家政学部, 助教授 (00011693)
鈴木 徳昭 千葉大学, 薬学部, 助手 (10171240)
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Keywords | ペルオキシダーゼ / 甲状腺ホルモン合成 / 橋本病 / バセドウ病 / HOMO / エネルギーレベル / カップリング活性 / ラクトペルオキシダーゼ / 甲状腺ペルオキシダーゼ |
Research Abstract |
1.ペルオキシダーゼcompoundIIと第二基質との反応速度定数(k_4)とHOMOエネルギーレベル……多数の第二基質(phenolとaniline誘導体)のk_4を測定、またその電子状態をabinitio法で計算したところ、k_4と相関するものはHOMOエネルギーレベルであることが確かになった。2.ヨードチロシンのカップリングに対するペルオキシダーゼの触媒活性のassay法の確立……昨年度にひきつづき、チログロブリン(Tg)上でのヨードチロシン残基のカップリング反応と、生成した甲状腺ホルモン(T_4T_3)の分析法を検討し、効率のよい方法を確立した。これを用いて、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ラクトペルオキシダーゼ(LPO)、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)の触媒活性をヘム当りにして比べてみると、TPOが最も高く、LPOの2倍に達し、HRPは非常に低かった。3.各種甲状腺疾患患者甲状腺組織中のTPOのカップリング活性……これについてはこれまで報告がないので、まずブタの甲状腺のTPOについて測定した後、バセドウ病、橋本病、良性及び悪性(癌)甲状腺腫、機能低下症などのTPOについてこの活性を測定してみた。またTgペプチドにTPOとI^-、H_2O_2を作用させ、T_4,T_3がこのペプチド上に生成するかどうかを調べた。4.抗原抗体反応による研究……我々はすでに甲状腺自己免疫疾患患者の血清中に抗TPO抗体が存在し、これがこれまで橋本病などの診断に用いられている抗ミクロゾーム抗体と同じものであることを示唆した。そこでこの抗体のバセドウ病治療中の消長を調べ、予後の予測に用いうるかどうか調べた。またこの抗TPO抗体について詳しく調べ、TPOとTgの共通上ピトープを認識していることを見出した。これらのことからこの抗TPO抗体は橋本病など自己免疫疾患発症に関係のあるTPOとTgの共通エピトープを調べるのに有効であり、今後臨床的にも重要になると考えられる。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Junji Sakurada;Seizo Takahashi;Toichiro Hosoya: Journal of Biological Chemistry. 262. 4007-4010 (1987)
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[Publications] Junji Sakurada;Seizo Takahashi;Toru Shimizu;Masahiro Hatano;Shingo Nakamura;Toichiro Hosoya: Biochemistry. 26. 6478-6483 (1987)
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[Publications] Y.Kohno;N.Naito;K.Saito;O.Tarutani;H.Nakajima;T.Hosoya: Acta Paediatrica Japonica. 30(Suppl). 128-132 (1988)
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[Publications] J.Takamatsu;T.Hosoya;N.Naito;H.Yoshimura;Y.Kohno;O.Tarutani;K.Kuma;S.Sakano;K.Takeda;T.Mozai: Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 66. 147-152 (1988)
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[Publications] 樽谷修、阿部展祐輝、石田常博、泉雄勝、高橋禮子、斎藤公幸、河野陽一、桧山義雄、吉村公一、細谷東一郎: 日本内分泌学会雑誌. 64. 390-401 (1988)
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[Publications] H.Yoshimura;K.Ito;O.Tarutani;T.Hosoya: Acta Endocrinologia(Copenh). 118. 147-153 (1988)
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[Publications] J.Sakurada;M.Aida;C.Nagata;T.Hosoya: Journal of Biological Physics. 16. 17-23 (1988)
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[Publications] Y.Kohno;N.Naito;Y.Hiyama;N.Shimojo;N.Suzuki;O.Tarutani;H.Niimi;H.Nakajima;T.Hosoya: Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 67. 899-907 (1988)
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[Publications] 尾崎修武、鈴木章、八代亨、眞鍋嘉尚、伊藤国彦、大森毅、細谷東一郎: 内分泌外科. 5. 237-241 (1988)
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[Publications] T.Hosoya;J.Sakurada;C.Kurokawa;R.Toyoda;S.Nakamura: Biochemistry. 28. (1989)
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[Publications] T.Ohmori;O.Tarutani;T.Hosoya: Biochemical Journal. (1989)
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[Publications] H.Yshimura;O.Ozaki;K.Ito;T.Hosoya: Endocrinologia Japonica. 36. (1989)
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[Publications] 細谷東一郎 中野稔、浅田浩二、大柳善彦編: "活性酸素、生物での生成・消去・作用の分子機構(蛋白質、核酸酵素 臨時増刊 Vol.33、No.16)のうち「ペルオキシダーゼ」" 共立出版, 3042-3047 (1988)