Research Abstract |
1.小学校の理科に関する生活単元期の教科書, 現行教科書, および既報告の基本概念試案を分析して概念要素を抽出し, 改めて小学校理科の基本概念群として整理した. 2.1の基本概念のうちまず, 力, 作用の伝達, 物の種類, 物の時間的変化, 生物と非生物, 日用品の由来, 物の動きと見え方, 水の循環をとり挙げ, 概念獲得までのプロセスを構成している活動体験や思考の順序の整理を試みた. 3.生活単元期と現行の教科書およびそれ以外の, 観察・実験教材に関する諸文献から, 活動諸要素を抽出・枚挙し, その中から, 2の各概念獲得プロセスにおける活動教材として適用できるものを選択した. 4.これまでに次の項目について, 概念獲得プロセスの骨格試案を作成した(〔 〕内は概略). (1)力〔(a)筋感覚における「諸場面での力の感覚的共通性の体験」と「力の大小の体験」, (b)力の大小の視覚化〕, (2)作用の伝達〔(a)物体の伝達(移動)を伴う「作用の伝達諸例」の体験, (b)物体の伝達(移動)を伴わない「作用の伝達諸例」の体験〕, (3)物(物質, 物体)の種類〔(a)回りにある物の枚挙と仲間分け. (b)仲間分けした際の諸観点・諸基準の整理〕, (4)物の(時間的)変化〔(a)放置物の時間経過に伴う性状変化の観察, (b)加熱, 冷却の前後における物の性状比較, (c)(a)(b)で見られた変化の仲間分け, (d)(c)で仲間分けした際の諸観点・諸基準の整理, (3)の(b)で整理された観点・基準と(4)の(d)で整理された観点・基準の対照・比較〕, (5)物の動きと見え方〔(a)物が動いて見える諸場面(物が動いている場合, 物の背景などが動いている場合, 自分が動いている場合)の体験, (b)物が静止して見える諸場面の体験〕. 今後, これらの作業に加え, 各プロセスに具体的活動教材を組み込んだシラバス試案を作成して行く予定である.
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