1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62604518
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中原 弘雄 埼玉大学, 理学部, 助手 (10008849)
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Keywords | 機能性両親媒性化合物 / LB膜 / 単分子膜 / 層状分子組織体 / 分子配列制御 / J会合体 / 光異性化反応 / 光励起エネルギー移動 |
Research Abstract |
種々のπ電子系を含む機能性両親媒性化合物について, 水面上単分子膜の表面圧一面積曲線, 蛍光顕微鏡による形態観察および瞬間マルチ測光システムによる可視吸収スペクトルから, 単分子膜中における機能性原子団の配列状態を調べた. 次にこれらの単分子膜にLB法ならびに水平付着法を適用して様々な高次構造からなる累積膜を形成し, 偏光電子スペクトルや赤外スペクトル, 光電子分光法などの分光学的手段と電子顕微鏡やX線回折などの機器分析により膜中における分子の配向・充填状態を明らかにし, 層状分子組織体における光異性化反応, 光重合反応性, 光励起エネルギー移動や若干の電気物性との関係から考察した. 1)アゾベンゼンを含む雨親媒性化合物について, 分子配列におよぼす化学構造の影響を調べるとともに, 単分子膜およびLB膜中における光異性化反応を検討した結果, 分子面積の増大を伴うtrans→cis反応は抑制され, 逆反応が選択的に生じることを見出した. しかし適当な二次元的希釈剤を加えたり, 低い表面圧の単分子膜中では発色団の充填状態が緩和するために可逆的な反応が起こる傾向がみられた. またシクロデキストリン長鎖誘導体を用いて, アゾベンゼン誘導体を包接させたLB膜中では可逆的な光異性化反応が生じる. 2)メロシアニン長鎖誘導体はアラキン酸カドミウムとの混合膜中で, 単量体に比べて長波長側に鋭い吸収および蛍光帯をもつ特異なJ会合体を形成する. このLB膜の吸収スペクトルの温度変化からJ会合体の励起子的挙動の次元性を明らかにした. 3)遷移金属錯体であるフェロセンの長鎖誘導体について, 長鎖置換基の数により膜中でシクロペンタジェン環の配向を制御することができた. また混合原子価状態の二次元配列が得られた. 4)種々のオリゴチオフェンと脂肪酸との混合膜中で, 長い分子が直線的に伸びているα-オリゴマーは膜面にほゞ垂直に配向して組みこむことができた.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] M.Tanaka,Y.Kaeabata,W.Tagaki,H.Nakahara,K.Fukuda,et al.: Chem.Lett.1307-1310 (1987)
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[Publications] H.Nakahara,K.Fukuda,K.Seki,S.Asada,H.Inokuchi: Chem.phys.118. 123-131 (1987)
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[Publications] S.Kim,M.Furuki,L.S.Pu,H.Nakahara,K.Fukuda: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1201-1203 (1987)
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[Publications] A.Yabe,Y.Kawabata,W.Tagaki,H.Nakahara,K.Fukuda,et al.: Chem.Lett.1-4 (1988)
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[Publications] 中原 弘雄,福田 清成,下村 政嗣,国武 豊喜: 日本化学会誌. (1988)
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[Publications] H.Nakahara,J.Nakayama,M.Hoshino,K.Fukuda: Thin Solid Films. IN PRESS. (1988)
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[Publications] 中原 弘雄: "『ラングミュアー・ブロジェット膜の作製』 山本・田中・堀江・牧島編「新素材プロセス総合技術」" R&Dプランニング, 10 (1987)
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[Publications] 中原 弘雄: "『LB法による有機超薄膜』,ELAN,87-02号" 文化放送ブレーン, 7 (1987)