1987 Fiscal Year Annual Research Report
好塩性緑藻Dunaliella sp.の嫌気性と光合成
Project/Area Number |
62617512
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
竹内 安明 自治医科大学, 医学部, 講師 (70049047)
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Keywords | 好塩性緑藻 / 嫌気的緑藻 / 光誘起ATP分解 |
Research Abstract |
好塩性緑藻Dunaliellaは海洋, 塩湖等に棲息し, 細胞内にグリセロール貯蔵して浸透圧に対抗している事で良く知られている. 西オーストラリアの湖で採集した単細胞の緑藻は最適塩濃度が4.0Mと非常に高く, また何より顕著な特性は嫌気条件を好む事であった. 光学顕微鏡による形態観察及び電子顕微鏡による超薄切片の観察により, Dunaliellaの一種であると同定された. 細胞のATP含量を測定すると, 好気条件下では光照射によりATPは通常とは逆に減少した. 嫌気条件下におくとはじめて光によるATP量の増大が見られた. この現象がこの緑藻の嫌気性と密接に関連していると考えられる. 好気条件下における光によるATP減少の波長依存性を測定した. 単純なパターンは得られなかったが, クロロフィルの吸収曲線と一致するとも言い難い. 660nm付近に一つのピークが得られている. これについては更に実験検討が必要である. またDCMU等の光合成電子伝達阻害剤やFCCP等のプロトンコンダクターを加えた条件下で光照射を行うと光による酸素の吸収が見られ, 同時にH^+の放出が見られた. 光による酸素吸収と光によるATP減少とからいわゆる光吸収が原因ではないかとも考えられたが, Co_2を充分に与えた条件下でも光によるATP, 減少は見られ, また光強度を下げてもやはり光照射によってATPは減少した. この事から通常の光呼吸がその原因であるとは考えにくい. 次に細胞を温和な条件で破砕して葉緑体を取り出し, ATPを与えて光照射を行った. 光によってATP減少は起こったが, 嫌気条件下においても光によるATPの増大は見られなかった. 従ってこの緑藻の嫌気性の原因は未だ明らかになっていない. 現在, 細胞の各分画について同様の実験を続行中である. マイクロソーム分画中でも光によるATPの分解が起きる事を確かめている.
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