1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62870063
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中浜 博 東北大学, 医学部, 名誉教授 (20004533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 光璋 東北大学, 工学部, 教授 (40004618)
相川 貞男 北里大学, 衛生学部, 教授 (90050385)
小暮 久也 東北大学, 医学部, 教授 (20133936)
熊澤 孝朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (20022775)
森 健次郎 京都大学, 医学部, 教授 (20025620)
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Keywords | 痛覚測定 / 皮膚温測定 / 輻射熱刺激装置 / 臨床痛 / 痛みのモジュレ-ション |
Research Abstract |
本システムの実用化に向けて、皮膚温センサとして採用した皿型センサの安定性評価というハ-ド的な検討を行うとともに、時間法による痛覚閾値測定法および反復輻射熱刺激法の評価というソフト的な検討を行った。さらに、実際に健常者に対する痛覚閾値の基礎デ-タ収集、各種疼痛患者に対する測定をはじめとする各種応用の検討がなされた。以下に、主な研究成果を示す。 (1)本システムを用いた輻射熱刺激では被刺激部位の皮膚表面温度分布は釣り鐘型であるが、採用した2mmφの皿型センサ-では0.5mmの設定立置ずれに対しても最大0.3℃程度の測定誤差であることが示された。 (2)心療内科領域における各種疼痛患者、痛みの無い心因性疾患者などにおける測定から、背景病態心理別に異なった痛反応時間パタ-ンを有することが示され、器質性の痛みと心因性の痛みの差異が示唆された。 (3)異なる刺激強度で時間法による痛覚閾値測定を行った結果、最高到達温度に対する感覚および情動的ビジュアルアナログ得点にベキ関数が適合することが示唆された。 (4)身体各部で痛覚閾値を測定し、部位差の影響を調べた結果、測定部位の反膚温度が閾値パラメ-タに影響を与える場合があることが示された。従って、測定結果の評価には測定部位の温度を考慮する必要がある。 (5)各種血管拡張薬の末梢への投与による痛覚閾値の変化が測定された。 (6)反復輻射熱刺激法による二次痛の測定の可能性が示された。 (7)SMON患者において熱痛覚閾値の測定を行った結果、健常者に比較し痛覚閾値が有意に高い部位があることが認められた。また脊髄髄節域でみた場合、遠位部での閾値の上昇が顕著である例が示された。 (8)全身麻酔下での痛覚閾値測定の応用が検討された。
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Research Products
(17 results)
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[Publications] 山内祐一,大森浩明,川上人志: "テクノストレス症候群にみられた慢性疼痛とその行動医学的治療" 日本疼痛学会誌. 4. 54 (1989)
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[Publications] 内海潤,新宮興,玉井直,梅田信一郎,森健次郎: "揮発性麻酔薬による痛覚閾値への影響" 日本疼痛学会誌. 4. 63 (1989)
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[Publications] 熊澤和彦,安井広尊,祖父江元,満間照典,熊澤孝朗: "SMON患者における熱痛覚閾値の測定ー皮膚温検出型輻射熱刺激装置(痛覚計)による検討ー" 日本疼痛学会誌. 4. 64 (1989)
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[Publications] 水谷好成,中尾光之,山本光璋,山内祐一: "輻射熱による痛覚閾値測定法とモデリング" 日本疼痛学会誌. 4. 65 (1989)
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[Publications] 畑山俊輝,工藤信雄,清水加代子,大山正博: "輻射熱刺激に対する感覚的・情緒的反応の精神物理学的分析:刺激の立ち上がりの効果について" 日本疼痛学会誌. 4. 66 (1989)
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[Publications] 相川貞男,秋田久直,野田和子,緒形雅則他: "皮膚温検出型輻射熱刺激装置を用いたヒト痛覚閾値の測定" 日本生理学雑誌. 39. 174 (1989)
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[Publications] Hatayama,T.Shimizu,K.,& Ohyama,M.: "Effects of thermal imagery on experimental pain using a constant radiant heat" Japanese Journal of Physiological Psychology and Psychophysiology. 7. 19-25 (1989)
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[Publications] 畑山俊輝: "イメ-ジ操作と痛みの緩和…痛覚閾値測定事態での検討…" 水口公信・山中祥男編「現代のエスプリ…痛みの世界…」(至文堂). 286. 66 (1989)
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[Publications] 工藤信雄,畑山俊輝: "輻射熱刺激に対する感覚応答特性の分析…温度変化率の勾配の効果について" 日本心理学会第53回大会発表論文集. 598 (1989)
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[Publications] 大山正博,畑山俊輝: "一試行感覚閾値測定における運動反応が心拍に及ぼす効果" 日本心理学会第53回大会発表論文集. 477 (1989)
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[Publications] 水谷好成,中尾光之,山本光璋: "反復輻射熱刺激による発痛閾値計測" 電子情報通信学会MEとバイオサイバネティックス研究会技術報告. MBE89ー30. 17-24 (1989)
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[Publications] Kudoh,N.Hatayama,T.& Shimizu,K.: "Effects of rate of temperature change on pain perception using a radiant heat algometer" Tohoku Psychologica Folia. (1989)
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[Publications] Hatayama,T.Shimizu,K.Kudoh,N.,& Ohyama,M.: "A comparison between two types of methods for measuring the threshold of pain by thermal stimulation" Tohoku Psychologica Folia. (1989)
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[Publications] 安井広尊,熊澤和彦,祖父江元,水村和枝,熊澤孝朗: "輻射熱発痛装置による痛覚閾値測定に及ぼす環境温度の影響" 名古屋大学環境医学研究所年報. 41. (1990)
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[Publications] 熊澤和彦,安井広尊,祖父江元,水村和枝,熊澤孝朗: "SMON患者における熱痛覚閾値測定ー皮膚温検出型輻射熱発痛装置(痛覚計)による検討ー" 名古屋大学環境医学研究所年報. 41. (1990)
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[Publications] 秋田久直,野田和子,緒形雅則,相川貞男: "輻射熱型痛覚計による感覚閾値" 医学と生物戦. 120. (1990)
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[Publications] 山内祐一,川上人志,田中恵子: "有痛例と無痛例における痛認知の比較" 第31回日本心身医学総会発表予定. (1990)