1988 Fiscal Year Annual Research Report
氷コア解析による氷河・氷床の動力学的特性と環境変動に関する総合的研究
Project/Area Number |
63302072
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
若濱 五郎 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (90001643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成瀬 廉二 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (10002099)
庄子 仁 富山大学, 理学部, 助教授 (50201562)
藤井 理行 国立極地研究所, 助教授 (20125214)
中沢 高清 東北大学, 理学部, 助教授 (30108451)
前 晋爾 北海道大学, 工学部, 教授 (80022672)
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Keywords | 氷コア / コア解析 / 氷河 / 氷床 / 氷河の動力学 / 環境変動 / 氷の物理的性質 / 氷の含有化学物質 |
Research Abstract |
本研究は、南極クィーンモードランド氷床、北極グリーンランド氷床、スピッツベルゲン氷冠、およびアジア内陸地域の氷河等にて掘削し採取された氷コアの解析を行い、諸特性を相互に比較検討することを目的としている。特に、最終氷期以降の大気環境変動の過程ならびに氷床・氷河の変動におよぼす氷の動力学的特性を明らかにする。そのため、本研究を下記1〜4の大項目に分け、昭和63年度は主として1および2のコア解析を行い、3および4の予備的研究を開始した。1988年12月14日、北大低温科学研究所において、本総合研究の全体研究集会を開催し、下記(1)〜(20)の研究成果あるいは今後の研究展望に関する発表を行い、それらをもとに総合的な討論を実施した。 1.氷の物理的性質の解析:(1)北極氷床コアの力学.(2)融点近傍の氷の力学.(3)静水圧下の氷の変形.(4)氷床氷の熱伝導率.(5)氷床氷の誘電率.(6)空気水和物結晶の構造.(7)コアの密度測定法. 2.氷の含有化学物質の分析:(8)南極の後氷期の気候・環境.(9)コアの粒径分布と酸素同位体.(10)北極の過去5000年の気候・環境.(11)アジアのコア解析.(12)氷コア比較研究.(13)氷コア空気の分析法.(14)氷床コアの含有空気量.(15)コア解析基礎ライン. 3.雪の堆積環境に関する解析と数値実験(16)降雪中の化学物質濃度と分布.(17)氷床上の地吹雪再配分.(18)極地の環境変動. 4.氷河・氷床の流動と応答機構に関する解析と数値実験:(19)氷床動力学の数値モデル.(20)氷床の底面すべりと変動. 以上の研究の結果、氷コアから得られる諸特性、諸情報は、地球上の地域による差および考察する時間スケールによる相違が序々に明らかになりつつある。今後は、さらに多視点からの比較研究が重要であると認識され、この点をふまえて研究を進める。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 藤井理行: Annals of Glaciology. 10. 38-42 (1988)
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[Publications] 河村俊行: Proceedings of the NIPR Symposium on Polar Meteorology and Glaciology. 2. (1988)
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[Publications] 本堂武夫: J.Inclusion Phenomena. (1989)
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[Publications] 上田豊: Bulletin of Glacier Research. 7. (1989)
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[Publications] 高橋修平: Bulletin of Glacier Research. 7. (1989)
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[Publications] 成瀬廉二: Annals of Glaciology. (1989)