1988 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-Iに関連した神経疾患の病態遺伝疫学・治療に関する研究
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63304042
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井形 昭弘 鹿児島大学, 学長 (00010207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園田 俊郎 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (40036463)
佐藤 栄一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60004579)
秋山 伸一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60117413)
長瀧 重信 長崎大学, 医学部, 教授 (70010311)
納 光弘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10041435)
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Keywords | HAM / ATL / HTLV-I / レトロウィルス / HILV-I associated Myelopathy |
Research Abstract |
ヒト、レトロウイルスHTLV-Iによっておこる脊髄障害である所のHTLV-I-associated myelopathy(HAM)の病態、遺伝疫学、治療に関し、本年度は以下の様に大きな成果をあげることができた。(1)全国疫学調査で明らかとなった710例(確実例589例、疑い例121例)の分析の結果、HAMは脊髄障害にとどまらず、神経症状としても頭蓋内病変をも有すること、ならびに神経症状にとどまらず、肺病変ならびに特殊な関節病変を伴う症例が少なからず存在することが明らかとなった。また、ふどう膜炎を伴う症例も存在することも明らかとなった。これらの病態の解明は、来年度に残されたテーマとなろう。 (2)HAM剖検 6例の検索により、主病変は側索の髄鞘と軸索の消失で左右対称にTractに沿って伸展し、病変部にはマクロファージの浸潤とアストロサイトの増生があり、血管周囲にはTリンパ球が、クモ膜下腔にはBリンパ球が優位に浸潤しているという新しい知見を得た。 (3)HAM患者末血、髄液よりT細胞株55株を樹立することができた。その結果、自己増殖反応には少なくとも3種類あること、ウィルス感染細胞株からリンホハキシンが高頻度に産出されること、ミエリン由来自己抗原に反応しないことがわかった。 (4)HLAハプロタイプ(HP)の検索により、HAMでは4つの特徴的なHPが検出され、いずれもHTLV-Iに対するTリンパ球の高免疫応答性を規定する因子と関連していた。一方、ATL患者ではHAM関連のHPは全く検出されず、HLAに関連した免疫応答機能の遺伝的多型がHAMとATLの発症を振り分ける家族的、民族的宿主要因となっていることが示唆された。 (5)HAM患者リンパ球DNAはキャリアーに比べ、多くのプロウィルスDNAを組込んでいたことより、HAMではHLV-I感染が広く進行していると結論した。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] Koichiro Usuku,et al: Annals of Neurology. 23. S143-S150 (1988)
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[Publications] Isao Kitajima,et al: Autoimmunity. 1. 125-131 (1988)
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[Publications] Kusuki Nishioka,;Ikuro Maruyama,;Kazuto Sato,et al: Lancet. 1. 441 (1988)
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[Publications] Mitsuhiro Osame,et al: Hematology. in press.
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[Publications] Gustavo C.Roman;Mitsuhiro Osame,: Lancet. 1. 651 (1988)
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[Publications] Shuji Izumo,et al: Neurology. 38. 242 (1988)
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[Publications] Mitsuhiro Osame,et al: 感染症学雑誌. 62. 240-248 (1988)
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[Publications] Mitsuhiro Osame,;Akihiro Igata.,et al: "Neuroimmunological Diseases--Recent Advances in Pathogenesis and Treatment Clinica-Epidemiological Study of HTLV-I-Associated Myelopathy in Japan" University of Tokyo Press, 1-409 (1988)
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[Publications] Akihiro Igata.: "Unusual Occurrences as Clues to Cancer Etiology HTLV-I-associated Myelopathy: An Overview" Japan Sci Soc.Press, 181-186 (1988)
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[Publications] Shunro Sonoda,;Mitsuhiro Osame.: "Neuroimmunological Diseases--Recent Advances in Pathogenesis and Treatment Genetic Analysis of the Patients with HAM and Adult T-cell Leukemia Cells" University of Tokyo Press, 1-409 (1988)
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[Publications] Takeshi Tabira,et al: "Neuroimmunological Diseases--Recent Advances in Pathogenesis and Treatment Recent Pregress in Treatment of Autoimmune Encephalomyelitis Using Animal Models" University of Tokyo Press, 1-409 (1988)