1988 Fiscal Year Annual Research Report
超音波パルスドプラ法による牛臓器内血流動態に関する研究
Project/Area Number |
63440017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸尾 祺明彦 北海道大学, 獣医学部, 教授 (70001526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 準 北海道大学, 獣医学部, 助手 (20142705)
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Keywords | 超音波診断 / 臓器血流 / ドプラ法 |
Research Abstract |
研究の初年度に当り裝置の設置と習熟に相当の時間を費した。特に大型の牛の深部臓器血流に関するドプラ情報はその取得が極めて困難であった。現在まで得られた成績の概要は以下の如くである。 1.臓器に分布する血流情報を、即ちどの臓器で血流動態がドプラ情報として取得し得るかを、子牛および成牛計8例について基礎的に検討した。使用機械はE4B-450、5.0MHz使用である。その結果、子牛では腎門部に流入する動脈が腎臓に入った部位で、門脈の肝内第1分枝部、肝内肝静脈において血流情報が得られた。すべて経皮走査である。心臓では四腔内の血流情報が得られた。また頚動脈および頚静脈でも取得した。成牛のそれは子牛とほゞ同様であったが、各血管は深部に位置するのでその検索は容易でなかった。 2.血流速度の検出は超音波ビームの血流方向に対する入射角と血管内での測定部位によって異なる。今回の例では血流方向に対し平行となる測定部位を求めるのは困難であった。また断層映像から測定点を求めたが体動等によって安定した観察が出来なかった。これに対する解決策は見出し難いが、肝臓に関しては血管走行様式から一部安定した記録が可能であった。 3.子牛の腎臓障害作製例での検討では、障害の進行(糸球体障害)に伴って血流速度は増大の傾向を見せた。これが臓器血流動態を示しているかどうかについては今後の検討が必要である。 4.うつ血性心不全例での門脈および肝静脈の血流に関しては、とくに肝静脈の拡張例で静脈血流が大きく変動するのが観察された。この成因に関しては単純にうつ血によるものかどうかは明らかでない。 以上の予備的な成績から一部の臓器についての血流情報の取得は可能と判断されたが尚検査法等の追求が必要である。
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