1990 Fiscal Year Annual Research Report
超音波パルスドプラ法による牛臓器内血流動態に関する研究
Project/Area Number |
63440017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸尾 祺明彦 北海道大学, 獣医学部, 教授 (70001526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 準 北海道大学, 獣医学部, 助手 (20142705)
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Keywords | 超音波診断 / 臓器血流 / ドプラ法 / 牛心臓病 |
Research Abstract |
本年は研究年度の最終年に当るので,年度の前半は主として臨床例の検討に費し,後半は資料とりまとめのための討議とその整理を行った。得られた研究実績の概要は次のごとくである。 1.牛で全身性循環障害の出現する以前にその病態を把握出来るのは稀であり,殆んどの例では病が完成された時点である。臨床例の観察では心臓に病の主座があると診断されたものに限定して血流情報をみた。 2.心臓の超音波断層像で高度胸水の貯溜,右室流出路のゆうぜい物の存在,ラフ血肝および腹水をみたゆうぜい性心内膜炎では次のような心腔内血流情報を得た。即ち僧帽弁口部ではP波におくれて左室内への流入血流は1.10m/sec,QRSにおくれて0.8m/secであった。大動脈弁口部ではP波のあとに0.6m/sec,QRSのあとに-0.8m/secの血流がみられた。三尖弁口部のゆうぜい物近傍では+0.6m/secと-0.5m/secで逆流の存在を伺がわせた。肝靜脈の血流は0.2m/secであった。右心系の不全によるラフ血の影響がみられた。 3.全身の冷性浮腫とECGおよび心断層像で特発性拡張形心筋症と診断された例では,冠動脈起始部で0.2m/sec,左房内で1.0m/sec,左心室内で-0.8〜+1.5m/sec,右心室内で-1.5〜+2.0m/secであり,肺動脈では0.5m/secであった。肝靜脈では-0.18〜+2.0m/secであった。また肝靜脈では-0.18〜+0.20m/secの値を得た。 4.頸靜脈から自家血血餅を約100ml注入し右心系の負荷を増大させて心腔内各部の血流を経時的に測定した。その結果注入直後の右室系での軽度の血流速の低下が一過性に認められたのみであった。 以上のごとく心障例の心腔内等の血流変化は健常例に比較しラフ血の様相のみが顕著であった。このことは病態の早期把握に有用な情報を提供するものと判断された。
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Research Products
(1 results)