1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63440063
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高坂 知節 東北大学, 医学部, 教授 (80004646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 秀明 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (20187751)
末武 光子 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (40183412)
栗原 篤 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (80192037)
柴原 義博 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (70142940)
新川 秀一 東北大学, 医学部, 講師 (90125584)
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Keywords | 滲出性中耳炎 / 難治化因子 / ケミカルメディエーター / 補体 / 鼓膜病理 / 中耳粘膜病理 / コラーゲン線維 / 柴苓湯 / サーファクタント |
Research Abstract |
難治性滲出性中耳炎の病態解析のために3ケ月以上の保存的治療に抵抗して治癒傾向を示さない病例を集め東北大学付属病院耳鼻咽喉科に入院させ鼓膜切開・換気チューブ挿入術・扁摘アデノトミーなどの手術的治療を行った。手術時に滲出液を無菌的に採取するとともに鼓膜並びに鼓室粘膜の生検を施行し電顕標本とした。更に手術症例の長期追跡も行い予後に与える諸因子の解析も行った。 ・滲出液中のケミカルメディエーターの解析:アラキドン酸代謝物のプロスタグランディン(PG)類、ロイコトリエン類、さらに補体のC_<5a>の定量を行い、あわせて貯留液中の浸潤細胞数や血漿アルブミン濃度との相関性や患者の合併症・予後との関連について検討した。新知見として、PG類特にPGE_2レベルが成人に比して小児に高く小児滲出性中耳炎における炎症の関与の重要性が確認された。またC_<5a>も他の滲出性病変を示す疾患におけるそれよりも高く補体系を介した滲出性病変が慢性化・遷延化と何らかの関係を有していることが示唆された。 ・鼓膜並びに鼓室粘膜の電顕病理:15例の鼓膜標本と11例の粘膜標本を超微細構造レベルで観察した。鼓膜病変の顕著なものとしては固有層コラーゲン線維の走行の乱れ・断裂・減少などであり浸潤細胞は好中球・好酸球・マクロファージ・肥満細胞など多彩な様相を示したが鼓室粘膜病変との相関は明確にされなかった。従って主たる滲出病変の舞台は鼓室粘膜並びに耳管鼓室口付近にあり鼓膜はむしろ中耳貯留液中に産出されたメディエーターやエンザイムの影響を受けて受身的な形態変化を示している可能性が進定された。しかし鼓膜の脆弱化が本症の難治化に強くかかわっていることから本研究の継続は必須である。 ・新しい薬剤療法の検討:内因性ステロイド賦活作用を有する和漢薬柴苓湯と耳管粘膜表面活性剤サーファクテンの効果につき基礎的検討を行った。
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