1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63450096
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
平良 勉 琉球大学, 教育学部, 教授 (80044907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金城 文雄 琉球大学, 教育学部, 助手 (40153259)
真栄城 勉 琉球大学, 教育学部, 助手 (90116971)
金城 昇 琉球大学, 教育学部, 講師 (60128478)
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Keywords | 体育・スポ-ツの成立・確立過程 / 教育政策・制度 / 国家主義教育 / 学校体育の成立・確立 / 行事・運動会 / 皇民化教育 / 身体の私事性 / 精神的・国家主義的身体観 |
Research Abstract |
今年度は、(1)沖縄独自の気候・風土・諸制度・生活様式と近代沖縄の体育・スポ-ツの成立・確立過程の内的関連を明らかにする(2)そのことを日本近代スポ-ツの中で捉え位置づけることで、その共通にみられる枠組み・側面の確認と特徴づけ、及びその異質の側面を探る。(3)同様に保健衛生の面ではどのような特徴がみられたのかを探ることであった。以下研究の成果と反省および課題について記す。 【○!1】諸処の教育政策が明治政府により急速かつ強力に展開されてきた状況下では、近代沖縄における学校体育史は、近代日本における教育制度の国家的体制下を意図した教育改革の流れの中に基本的に枠組みされざるをえないものであった。 【○!2】近代沖縄の学校体育の成立・確立は、「小学校令」(明治19年)に始まり、「改正小学校令」(同33年)で拡充されていくものと推察されるが、その方向性は「忠君愛国的」国家主義教育の一端を担うことが基調にあって確立していくと考えられる。このことは、指導者養成としての師範学校における正課体育の教育内容・方法の変遷と合わせて検討していくことが課題として残されている。 【○!3】明治末期から学校の行事形態として遠足・行軍・運動会がきわめていくが、とりわけ運動会は、児童生徒・父兄・地域住民が一体となって娯楽に享楽するなど地域の統合機能をもつ反面、「戦勝祝賀記念大運動会」等にみられるように地域住民をも含んだ皇民化教育の機能も内在する。 【○!4】また、保健衛生においても同様に、この間一貫して流れているのは、心得としての衛生教育はあっても「身体の私事性」にもとづくものはなく、むしろ科学性の否定であり「精神的・国家主義的身体観」にもとづく滅私奉公的発展をたどっていると思われる。次年度はこのことを学校衛生を中核にすえ、保健医療の状況等と関連させながら体系化する
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