1988 Fiscal Year Annual Research Report
炎症急性期蛋白合成誘導の調節機構と、その生理的役割に関する研究
Project/Area Number |
63490021
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
岡本 博 神戸学院大学, 薬学部, 助教授 (00028870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 玲美子 神戸学院大学, 薬学部, 実験助手 (00203828)
伊藤 徳夫 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (60176352)
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Keywords | 炎症 / 急性期タンパク / キニノーゲン / アンジオテンシノーゲン |
Research Abstract |
肝細胞の炎症急性期蛋白合成に対する白血球の抑制系:脾細胞をLPS刺激することにより、通常T-キニノーゲン(Tkgn)のような炎症急性期蛋白の肝細胞での生合成を刺激する因子(IL-6とIFN)の分泌が見られるが、長時間LPS刺激条件によっては、逆にそれを抑制する因子の分泌が観察された。この因子産生はグルココルチコイド、IL-1、TNFによって促進された。また、この抑制性因子産生細胞の誘導は、インドメタシン存在下で抑制され、PGEやPGE添加により回復することから、抑制性因子産生細胞誘導過程に関与すると考えられた。抑制性因子産生細胞はマクロファージであることを証明し、この抑制性マクロファージ誘導に、アクセサリー細胞としてT-細胞の存在が必須であることを認めた。 急性期蛋白キニノーゲンの癌細胞増殖抑制機序:in vitro実験において、担癌マウス腹水より単離したキニノーゲンに限らず、既知のシステインプロテアーゼ(CP)インヒビターである卵白シスタチンやTkgnにも、複数種癌細胞増殖抑制作用のあることを認めた。この作用は、細胞周期上のGO、G1期からS期への移行に見られ、癌細胞膜表面に検出されたある種のCPに対する阻害に基づくとの証拠を得た。急性期蛋白アンジオテンシノーゲン(Agn)の誘導機構と機能:肝癌細胞株を用いた培養実験により、肝細胞Agn産生はグルココルチコイド存在下、IL-6により刺激されることを見いだした。起炎刺激を与えたラットにおいて、血漿Agn濃度の増加に伴い、血漿のアンジオテンシンI産生速度が高まることを証明した。精製Agnには、セリンプロテアーゼ阻害活性、あるいはステロイドホルモン結合活性を検出し得なかった。
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[Publications] 大谷玲美子: Life Sciences. 44. 237-241 (1989)
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[Publications] 伊藤徳夫: FEBS Letters. 244. 6-10 (1989)
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[Publications] 岡本博: International Journal of Tissue Reaction. (1989)