1989 Fiscal Year Annual Research Report
「飯場」における出稼ぎ労働者と寄せ場労働者の労働状況
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63510092
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
八木 正 金沢大学, 教養部, 教授 (80022101)
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Keywords | 建設産業 / 出稼ぎ労働者 / 寄せ場日雇労働者 / 人手不足 / 賃金格差の逆転 / 雇用の安定度 / 「飯場」(死語としての) / 宿舎の個室化 |
Research Abstract |
建設産業は今まで、その主要な労働力として出稼ぎ労働者と寄せ場日雇労働者に依存してきた。しかし最近では、出稼ぎ労働者は高齢化などにより激減しており、その分だけ寄せ場日雇労働者への依存率を高めつつある。しかも若者の間に、「危険、汚い、きつい労働」への忌避が広まっている現状では、大型プロジェクトを遂行するためには、いやが上にも寄せ場労働者に対する需要は高まらざるをえない。全般的な「人手不足」時代を迎えたこともあって今、「寄せ場」は空前絶後の好景気に沸きかえっている。このような有利な諸条件の中で寄せ場労働者の賃金は高騰し、かつて出稼ぎ労働者との間にあった賃金格差は完全に逆転している。現状では、日雇労働者の賃金相場が、出稼ぎ賃金をリ-ドしている。その結果、高齢の出稼ぎ労働者の中には、企業の雇用条件が悪いために、日雇労働者となって働いているという注目すべきケ-スも表れてきている。このような状況から、部分的には出稼ぎ労働者と寄せ場労働者との関係が逆転している現象もあるが、基本的な地位関係までも覆しているわけではない。出稼ぎ労働者を主要に雇用している中堅企業と、日雇労働者を主要に雇用している零細企業との間にレベルの格差があるからである。また一般に建設企業は、寄せ場労働者と較べると相対的に安定している、勤勉な出稼ぎ労働者の雇用を優先させ、比較的安定した労働条件を与えるからである。「飯場」は今や、少なくとも表向きには完全に死語と化している。今では、「作業員宿舎」と呼ばれている。その実態もかなり変化している。地価の高騰もあって、大型化すると共に、個室化が進んでいる傾向が見られる。この面でも、出稼ぎ労働者の宿舎個室の改善は目覚ましく、中には冷暖房のついている部屋を用意しているところもある。ちなみに、出稼ぎ労働者の賃金は、需要供給の関係から「東高西低」型となっている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 八木正: "国内出稼ぎ労働者と寄せ場労働者" 日本寄せ場学界年報・寄せ場. 1. 89-101 (1988)
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[Publications] 八木正: "実践的課題と社会学の自己変革-「生活実践の社会学」への道程" 東北社会学研究会・社会学研究. 53. 43-61 (1988)
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[Publications] 八木正: "原子力発電産業に潜在する差別の連関構造" 日本解放社会学会・解放社会学研究. 3. 108-123 (1989)
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[Publications] 八木正: "能登の出稼ぎ地帯と原発立地問題" 出稼組合連合会大阪事務所・出稼ぎ者大会. 2月号. 12-19 (1990)
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[Publications] 八木正: "現代被差別労働への社会学的アプロ-チ" 日本労働社会学会年報. 1. 99-118 (1990)
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[Publications] 八木正: "原発は差別で動く-反原発のもうひとつの視角" 明石書店, 359 (1989)