1990 Fiscal Year Annual Research Report
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63520015
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Research Institution | The Junior College of the University of Meiji |
Principal Investigator |
中原 精一 明治大学短期大学, 教授 (30070618)
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Keywords | 南アフリカ共和国 / アパルトヘイト / 人権条項 / 南アフリカ共和国憲法史 / アフリカ-ナ- / ソエト事件 / 三院制 / 国民党 |
Research Abstract |
平成二年度は最終年度であるので、これまでの研究を総括した。 南アフリカ共和国の憲法史は巧妙にカムフラ-ジュされたアパルトヘイト史といえる。南アフリカ憲法には、最初から現在まで人権条項を欠いている。その結果、憲法で定められた国会をはじめ、国政運営機関が差別政策を生む環境をつくる場となってきた。その性格は近代憲法とはほど遠いものであった。本研究は南アフリカ共和国憲法の通史をつくるための予備的段階としての概観的研究のつもりでいるが、同時に上記のような南アフリカ共和国憲法の性質を、本研究によって正確に把握できればよいと考えている。 このような視点から、第一年度には1909年連邦憲法成立まで経過をみて、植民地時代のイギリス人の統治思想の確立と、アフリカ-ナ-の宗教観による純血主義の対立から生れる、アフリカ人を差別するアパルトヘイトの形成が、連邦憲法の背景となっていることを考察した。第二年度には1961年共和国の成立と、その運用について考察した。1948年の総選挙でアフリカ-ナ-の国民党が圧勝すると、アパルトヘイト法体系を増加させるとともに、イギリス支配を脱するために憲法政正を実行した。この政正によって、人種差別が強化され、シャウプビル事件,ソエト事件などで国際的批判をうけるようになった。 第三年度の今年度は、現行憲法の1983年憲法の構成と、いわゆる三院制や大統領制の機能などについて検討したうえで、南アフリカ共和国憲法史の全体像をまとめることにした。とに本年に入ってから、アパルトヘイト法体系の廃止傾向が一段とすすんで、近い将来に近代憲法史に接近した憲法政正が行われることが予測されるようになった。このようにアパルトヘイト法体系と憲法体制とが流動化している現状も分析しながら、本年度の研究のしめくくりにするよう、努力している。
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Research Products
(2 results)