1988 Fiscal Year Annual Research Report
層状遷移金属ダイカルコゲナイドの表面電子状態と走査型トンネル電子分光の理論的研究
Project/Area Number |
63540250
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 直 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (40029559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 和子 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (90029413)
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Keywords | 層状遷移金属ダイカルコナゲイド / 表面電子状態 / APW法 / 走査型トンネル電子分光 |
Research Abstract |
層状物質TX_2(T:遷移金属、X:カルコゲン)における表面電子状態あるいはスラブの電子状態を計算するという本研究目的を達成するための第1段階として、今年度はTX_2のバルク電子状態を正確に計算できる方法の確立に努めた。現在我々が持っているAPW法のプログラムが、1T型のTiS_2及びTiSe_2に対してはpーdバンドの重なりが若干大きいという点を除いて良い結果を与えることは既に確かめられている。今回は2H型のTX_2に対してわれわれはプログラムがどの程度有効であるかをみると同時にpーdバンドの重なりに関する改良を試みた。得られた知見は以下の通りである。 1.2HーTaS_2および2HーNbS_2のバルク電子帯構造の様子は、各原子のマフィンテン(MT)球の大きさに強く依存する。TaのMT球をSのMT球より小さくとることにより、TaS_2のバンドに関しては既存の信頼できるとされている計算と比較してpーdバンドの重なりが小し大きいという点を除いてはほぼ同じ結果が得られた。NbS_2についてはMT球の大きさをどのようにかえてもpーdバンドの重なりが大きく、既存の信頼できるとされている計算結果とかなり異なる。 2.pーdバンドの重なりを改良する目的で層間に仮想的な空原子(Empty Spher)を置いて1TーTiSe_2及び2HーNbS_2のバンド計算を行なったがpーdバンドの重なりに関しては変化があまりみられなかった。層間のポテンシャルの取扱がMT近似では不十分であるためと思われる。 3.MT近似に対する補正の一つであるいわゆるWarping Correctionを取入れて1TーTiS_2の計算を行なった。結果はpーdバンドのかさなりが小さくなり、より現実的なバンド構造に近付いた。 従って層状遷移金属ダイカルコゲナイドの電子帯構造の計算にはMT近似に対する補正が重要であることが明らかになった。
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[Publications] N.Suzuki,;T.Yamasaki,;K.Motizuki: J.Phys.C. 21. 6133-6141 (1988)
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[Publications] N.Suzuki,;T.Yamasaki,;T.Teshima,;K.Motizuki: Physica.B.
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[Publications] N.Suzuki,;T.Yamasaki,;K.Motizuki: J.Phys.(Paris).