1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540298
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
川崎 一朗 富山大学, 理学部, 助教授 (60115136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 勇 金沢経済大学, 経済学部, 講師 (70173862)
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Keywords | 異方性 / 海洋マントル / 表面波 / トモグラフィ |
Research Abstract |
本年度は、まず最初に、方位異方的海洋上部マントルに於ける地震表面波励起の理論を確立し、次に、GDSN(アメリカの高精度デジタル地震計網)の長周期記録を調べ、理論的に予測される現象が実際に観測されることを見いだした。 海洋上部マントル地震波速度異方性が存在すると、特定の周期、特定の方向で、異種表面波モード間の分散曲線が接近し位相速度の差が0.05km/s以内になると、モード間カップリングが生じ、表面波の質点運動の方向がレーリー波とラブ波の中間的なものになることが理論的に分かった。この様な現象は、特に、「基本モードのラブ波と1次の高次レーリー波の間、周期50秒以下、プレートの拡大方向に直交する方向から少しずれた方向」で起こりやすいと予想される。 この様な現象が実際に存在することを示すために、テキサス大学オースチン校の田島博士と共に、環太平洋地域で発生した地震のハワイのGDSNのHON(ホノルル)観測点の記録を調べた。その結果、アリューシャン列島など特定の方位から来る表面波が、理論的に予測されたような中間的な質点運動の偏光を示し、上記理論的予測の現実性、仮定した方位異方的海洋上部マントルの妥当性を裏付けた。 次年度は,太平洋地域の数多くの地震からの地震表面波の分散曲線を求め、本格的に海洋上部マントルの方位異方的トモグラフィに進みたい。
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