1989 Fiscal Year Annual Research Report
プラスチックの焼却における有害物質の生成と分解に関する研究
Project/Area Number |
63550395
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
武田 信生 京都大学, 工学部, 講師 (20026256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 正勝 京都大学, 工学部, 教授 (30025861)
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Keywords | クロロベンゼン / クロロフェノ-ル / プラスチック / 燃焼 / 熱分解 / 異性体分布 |
Research Abstract |
クロロベンゼン類およびクロロフェノ-ル類はベンゼン環を有する有機塩素化合物の中で基本的な物質であり、猛毒物質ダイオキシン類の前駆体としても重要な化合物である。本年度はこれらクロロベンゼン類およびクロロフェノ-ル類の定量分析について検討を行った。回収率試験の結果、クロロフェノ-ル類の一部がカラムへ吸着するなどの理由によって定量値の再現性に少し問題が残ったが、燃焼・焼却関連の資料中のクロロベンゼン類およびクロロフェノ-ル類をppbレベルで定量可能な分析方法を確立した。この分析方法を用い、ポリ塩化ビニルを試料とし、温度と燃焼雰囲気をパラメ-タとした実験室規模の熱分解・燃焼実験を行った。その結果、次のような知見が得られた。(1)同族体分布に関しては、モノクロロベンゼン、モノクロロフェノ-ルが他の同族体に比べて圧倒的に多く、その分布の形からクロロベンゼン類、クロロフェノ-ル類は同族体の塩素付加により生成している。(2)クロロベンゼン類、クロロフエノ-ル類ともに酸素濃度の増加にしたがい、塩素化が進みやすくなる。(3)異性体分布ではクロロベンゼン類については一定の傾向はみられないが、クロロフェノ-ル類では2ーモノクロロフェノ-ル、2,4ージクロロフェノ-ル、2,6ージクロロフェノ-ル,2,4,6ートリクロロフェノ-ルなど2,4,6ー位が塩素置換した異性体が多い。次に清掃工場の排ガスおよび飛灰中のクロロベンゼン類およびクロロフェノ-ル類分析を行った結果、次のような知見を得た。(1)クロロベンゼン類が電気集塵器の前後で増加する場合は、高塩素化側の増加の割合が低塩素化側に比べて大きい。(2)電気集塵器から排出される飛灰中の同族体分布は、クロロベンゼン類、クロロフェノ-ル類ともに高塩素化側に偏る。(3)異性体分布に関しては、クロロベンゼン類については一定の傾向が認められなかったが、クロロフェノ-ル類では2,4,6-位が塩素置換している異性体が多い。
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