1988 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子 (特にボジトロニウム) を利用したキャビティ内ガス元素の研究
Project/Area Number |
63550470
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷川 雅幸 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (80005975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 晋二 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40208012)
山口 貞衛 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80005892)
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Keywords | 陽電子 / ポジトロニウム / キャビティ / ボイド / 照射損傷 / ゼオライト / セピオライト |
Research Abstract |
1.バナジゥム・キャビティ (ボイド) ・ジルコニウム箔ラッピング熱処理法等により酸素不純物量を制御した試料を原子炉照射し、ボイドを含む試料を用意した。これら試料中ボイド内に捕獲された陽電子の挙動を調べ以下の事を明らかにした。 (i) ボイド内表面が酸素でわずかに (表面層一層以下) 汚染されるとポジトニウムが形成すること, (ii) 生じたポジトロニウムは負の仕事関数に対応して数evのエネルギーを持つと考えられるが、ボイド内では急速にエネルギーを失いほぼ熱化する。しかしながら酸素量が少ないとその熱化が不充分であることが分かった。この事は熱化過程に対し酸素が重要な役割を果すことを示す。 (iii) 超高真空中で試料を600℃に加熱すると (自由) 表面に偏折していた酸素は内部に再固溶することが知られている。本研究のボイドの場合にもその内表面で同様の事が起こっていることが、ポジトロニウム形成の等時焼鈍回復実験より明らかにされた。この結果はボイドない表面状態に関する新しい実験手段としてポジトロニウムを利用する方法が有用である事を示した。 (iv) ボイド内に生じたポジトロニウムは、パラ・ポジトロニウムの消滅速度と同程度といし従来例の無いような高速でスピン交換反応をしていること、またこの速度は200K以下の低温では温度低下に伴って急激に減少し、20Kでは室温での値の約百分の1になることを見出した。このスピン交換反応もボイド内部に関する新たな知見を与えてくれると期待される。 2.ゼオライト、セピオライ等のキャビティ中に生ずるポジトロニウムとていぶに含まれるガス等との間の相互作用についても有用な知見を得た。 3.次年度は、超高真空中およびカズ雰囲気中加熱や焼鈍実験を行い、酸素の効果の詳細、他のガス元素例えば水素の効果等を調べる。さらに低温寿命の詳細を調べるスピン交換反応機構の解明を目指す。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masayuki,Hasegawa: Journal of physics : Condensed Matter. (1989)
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[Publications] Masayuki,Hasegawa: Proc.of the 8th Int.Conf.on Positron Annihilation,Gent,Belgium,23 Aug.-3 Sept.1988. (1989)
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[Publications] Eiichi,Kuramoto: Proc.of the 8th Int.Conf.on Positron Annihilation,Gent,Belgium,23 Aug.-3 Sept.1988. (1989)
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[Publications] Yoshimi,Tsuchiya: Proc.of the 8th Int.Conf.on Positron Annihilation,Gent,Belgium,23 Aug.-3 Sept.1988. (1989)
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[Publications] Yasuo,Ito: Applied Physics. A45. 193-201 (1988)