1988 Fiscal Year Annual Research Report
起電力法による溶融インジウム-典型金属径、タリウム-典型金属径合金の活量測定
Project/Area Number |
63550482
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
亀田 和夫 岩手大学, 工学部, 助教授 (20003882)
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Keywords | 溶融合金 / TL-Sb系合金 / TL-Bi系合金 / 活量 / 混合熱 / 起電力法 |
Research Abstract |
インジウム、タリウムなどのIIIB族元素、また合金の相手になるアンチモン、ビスマスなどの典型金属はほとんどの鉱石に含まれ、非鉄量産金属製練における微量共存元素として関心が持たれている。またガリウム、インジウム、タリウムなどのIIIB族元素とヒ素、アンチモン、ビスマスなどのVB族元素の合金にはIII-V化合物半導体としての応用があり興味が持たれる。したがって溶融IIIB-VB系合金の熱力学的性質について知見を得ることは、非鉄金属製練および電子材料製造の基礎として重要である。本年度は活量を測定するための各種合金について調査を行い、引き続き起電力法により溶融TL-Sb,TL-Bi系合金の活量測定を実施し、次のような結果を得た。 (1)液体標準によるTL-Sb系の1000Kと1200K、TL-Bi系の750Kと1000Kにおける両成分の活両はそれぞれラウール則より負に偏倚した。また両系とも温度が上昇するにつれて活量がラウール則に近づいた。 (2)両系の混合熱は発熱で、ピーク値はTL-Sb系ではN_<TL>=0.65付近において-3.35kJ/mol、TL-Bi系ではN_<TL>=0.61付近において-4.69kJ/molを示した。 (3)TL-Sb系はβ、γなどの中間相の影響が、TL-Bi系は低温領域の比較的広い範囲に存在するγ、δ、E相などの影響がそれぞれ液相でも強く残存するため、両系の両成分の活量とも全組成にわたり負に偏倚し、また両系の混合熱はそれぞれ発熱を示すものと考えられる。 (4)両系の活量および混合熱をそれぞれ比較すると、TL-Sb系に比べTL-Bi系の1000Kにおける活量の負偏倚はその程度がやや大きく、また両系の混合熱は発熱であるが、TL-Bi系の混合熱の発熱の程度は、TL-Sb系に比べ若干大きい。 (5)今後の研究計画はIn-Bi、In-Te、In-Cu、TL-Pb系等の合金融体について活量測定を行い、これらの合金系の性質を解明する一助とする。
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