1989 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス活性なπ共役化合物を利用する新しい多色エレクトロクロミック系の開発
Project/Area Number |
63550646
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
杉本 豊成 京都大学, 工学部, 助教授 (30093256)
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Keywords | 電子供与性1,3ージテト-ル基 / デンドラレン / ラジアレン / 酸化還元 / エレクトロクロミズム |
Research Abstract |
1,3ージチオ-ルあるいは1,3ーベンゾジチオ-ル基で置換された〔3〕ーおよび〔4〕ーデンドラレンを、2,2´ー(エタンジクリデン)ビス(1,3ージチオ-ル)のVilsmeyerおよびWittig反応を用いて好収率で合成することが出来た。これらの酸化還元電位の値はサイクリックボルタメトリ-により与えられた。いずれのデンドラレンも、可逆、可逆、不可逆な3段階の酸化還元波を示し、かつそれぞれ一電子、一電子、二電子移動を含んでいる。対応する2,2´ー(エタンジクリデン)ビス(1,3ーベンゾジチオ-ル)や2,2´ー(エタンジクリデン)ビス11,3ージチオ-ル)の第一及び、第二酸化還元電位と〔3〕ー及び〔4〕ーデンドラレンのそれらと比較すると、第一酸化還元電位についてはほとんど変化が見られないが、第二酸化還元電位については90ー170mVより低電位側にシフトしている。これは〔3〕ー及び〔4〕ーデンドラレンのジカテオン状態でonーsite Coulomb反撥が著しく減少していることを暗示する。これらのデンドラレンの酸化の進行に伴ない、中性、カテオンラジカル、ジカテオンの3状態で顕著な色調が見られた。例えば、トリベンゾ置換デンドラレンでは、中性で黄色、カテオンラジカルで暗青色、ジカテオンで緑色に変化した。また、対応する〔2〕デンドラレンのカテオンラジカル、ジカテオンの最長波長吸収極大値と比較すると、カテオンラジカルに関してはほとんど変化がないにも拘らず、ジカテオンでは300nmも大きく長波長側へシフトしている。この原因については尚不明であるが、先の2年間で研究したチエノチオフェンのモノ及びジキノン体の電子構造において見られたように、励起ビラジカル構造が関与している可能性がある。この詳細については現在検討中にある。
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[Publications] Toyonari Sugimoto: "Design of Purely Molecular/Organic Ferromagnets by Use of Oddーnumbered[n]ーRadialenes" Molecular Crystals and Liquid Crystals. 176. 259-270 (1989)
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[Publications] Yohji Misaki: "Synthesis and Propertiesof 1,3ーDithioleー[3]ーandー[4]ーDendralenes,Acyclic Systems of the Corresponding[3]ーand [4]ーRadialenes" Tetrahedron Letters.