1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63550728
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大森 斉 岡山大学, 工学部, 教授 (70116440)
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Keywords | リンパ球の無血清培養 / 無血清培地 / β-シクロデキストリン / 抗体応答 |
Research Abstract |
マウスリンパ球をin vitroで培養し、抗体産生細胞へ分化させる過程に関与する免疫調節因子を解析する研究は通常牛胎児血清(FCS)を含む培地を用いて行われてきた。しかし用いるFCSのロットにより結果に差異の生ずることが報告されている。このような問題を克服するためには血清を含まない培地の使用が望ましいが、今まで一次抗体産生を効率良く誘導できる無血清培地は確立されていない。我々はβ-シクロデキストリンがFCS代替物として有効であることを見出し、この知見に基き、本研究においてリンパ球培養用無血清培地の確立を行った。以下に本年度の研究実績の概要をのべる。 1.無血清培地成分として有効な血清由来の脂溶性因子の固定。 β-シクロデキストリン、アルブミン、トランスフェリン、インスリンを含むRPMI-1640培地よりなる基本培地では抗体応答は血清添加培地の30%程度であったが、ここにFCSのエーテル抽出画分を加えると抗体応答が有意に増強された。この画分をTLC、HPLCで更に分画したところ、コレステロールと挙動を同じくする成分に活性が認められた。マススペクトルによりこのものがコレステロールであることを確認した。更に遊離のコレステロールよりも低密度リポ蛋白(LDL)の形で培養系に加えた方が効果が大きいことを見出した。 2.FCS添加培地と同等の有効性を示す無血清培地の確立。 上記基本培地にLDLを加えた培地でも抗体応答はFCS添加培地での応答の60〜70%であった。更に抗体応答を増強する物質をアミノ酸、ビタミンポリアミン類の中から検索したところ、プトレシンとL-アラニンを同時に加えると最も有効であることを見出した。以上のべた各種の添加物の至適濃度を決定し、FCS添加培地と同等の効率で一次抗体応答を誘導できる無血清培地の確立に成功した。
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