1988 Fiscal Year Annual Research Report
ラット網膜の再凝集培養に於ける神経細胞の性質の検討
Project/Area Number |
63570064
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
赤川 公朗 埼玉医科大学, 生理学, 講師 (80129303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 早苗 埼玉医科大学, 生理学, 助手
鈴木 勝 埼玉医科大学, 生理学, 助手 (40095378)
植村 慶一 埼玉医科大学, 生理学, 教授 (90049792)
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Keywords | ラット網膜 / 再凝集培養 / 層構造 / 光応答 |
Research Abstract |
新生児ラット(ロングエバンス系)の網膜を摘出し、Ca^π及びMg^π非存在下で機械的にdissociateした後、10%ラット血清を含むMEM培養液中に分散させた。これを5%CO_2、37℃下で振盪させることによりほぼ球形の再凝集培養細胞塊を得た。一週間培養した後、再凝集塊をアルデヒド固定し凍結切片あるいはエポン包埋して1μm切片を作製して組織学的に調べると、内部に特徴的な層構造を観察することができた。最内部は小型の紡鐘型細胞が向中心性に配列した構造が存在していた。その中心部にはoptic disk様の重層した膜が認められることから、これらは分化した光受容細胞の集合体と考えられた。またこの向中心性配列構造の外側は数種の細胞を含む層があり、更にその外側には神経線維が集積した層が認められた。この層からは多量のシナプスの存在が形態学的に見出された。再凝集塊の最外層は比較的大型の一層の細胞より成り、細胞種特異的モノクローン抗体で検索することにより大部分がアマクリン細胞であると分った。アマクリン細胞は生体内では低頻度で活動電位を発生することが知られているので、この系でも最外側の細胞よりパッチクランプ法、特にon cellパッチ法で電気生理学的に検討してみると(本研究費補助により購入したオシロスコープ使用)一部の細胞が低頻度の自発性活動電位を出していることが知られた。この再凝集培養細胞塊に認められる上記の様な層構造は生体の網膜と類似しており、かつ光受容細胞も分化していると考えられるので、網膜の有する特徴的機能ー光応答ーもこの系で生ずるか否か検討する予定である。
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