1990 Fiscal Year Annual Research Report
ラット綱膜の再凝集培養に於ける神経細胞の性質の検討
Project/Area Number |
63570064
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
赤川 公朗 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (80129303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白尾 智明 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (20171043)
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Keywords | ラット網膜 / 再凝集培養 / 層構築 / 光応答 |
Research Abstract |
新生児ラットの網膜を摘出し、カルシウム・マグネシウム非存在下に緩やかにピペッチングして単一細胞群にまで分離した。ラット血清を含む培養液に懸濁し旋回培養を行なうことにより直径約300ー500μmの再凝集細胞塊を得た。10ー15日間培養した後、再凝集塊の最外層の神経細胞からパッチクランプ法により電記生理学的記録を行なった。暗所では最外層の細胞の内、約5分の1から自発性活動電流を得られた。凝集塊全体に光照射をすると少数の細胞では自発性発射の頻度が上昇し、照射停止により元のレベルに戻ることが観察された。例数を増して検討した結果、自発性発射を示す細胞の1.6%(380例中6例)にこの光応答様の反応があることが分った。既に組織学的検索により、最外層の細胞の大部分はアマクリン細胞であり、光受容細胞は凝集塊中心部に存在していることが知られている。それ故、この結果は外側のアマクリン細胞と光受容細胞の間で機能的神経連絡が形成されていることを示した。しかし反応例数が少ない事は培養細胞の状態が良好でない為とも考えられたので、細胞生存率を高めるとされるジブチルサイクリックAMPを培養液に加えた。凝集塊をエポン包埋した後、薄切して組織学的検討をしたが、添加群とコントロ-ルではその層構造に差異は認められなかった。また最外層のアマクリン細胞の膜を認識するHPCー1抗体を添加した場合も組織学的変化は認められず、再凝集培養塊に見られる層構築はかなり安定なものと考えられた。 以上の結果より、網膜再凝集培養系は神経回路形成のモデル系として有用であると考えられた。
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Research Products
(1 results)