1988 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部ー下垂体系におけるヒスタミンの動態と神経内分泌機能ー無麻酔非拘束でのラット視床下部灌流による解析
Project/Area Number |
63570128
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大和谷 厚 大阪大学, 医学部, 助教授 (30116123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 育男 大阪大学, 医学部, 助手 (90176496)
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Keywords | ヒスタミン / 微小脳透析法 / マイクロダイアリシス / 神経内分泌 / 視床下部 |
Research Abstract |
われわれの研究室では、ヒスチジン脱炭酸酵素に対する抗体を用いた免疫組織蛍光法により、ラット脳内にヒスタミン作動性神経系が存在することを形態学的に証明した。そして、視床下部後部・乳頭体の極めて限局した部位の約3000個の大型の細胞集団から脳内の広範な部位に線維を送っているという形態学的な特徴を明らかにした。本研究の目的は、この脳内ヒスタミン神経系がどのような生理的および病態生理的な意義を持っているのかを明らかにする点にある。脳の複雑な働きの中で、視床下部ー下垂体系の神経内分泌機能は、血中ホルモンの分析によって、化学的な定量が可能な唯一の神経機能である。ヒスタミン神経線維は視床下部諸核に最も高密度に分布しており、特異的ヒスチジン脱炭酸酵素阻害薬を用いて脳内ヒスタミンを特異的に涸渇したとき、ACTHやバソプレッシンなどの神経内分泌機構が正常に反応できなくなることを報告した。そこで、本研究では無麻酔非拘束ラット視床下部微小透析法を用いて視床下部におけるヒスタミンの動態と血中内分泌ホルモンの変動との相関を検討し、神経内分泌機構におけるヒスタミンの役割とその制御機構を明らかにするを目的として行なった。初年度では、微小脳透析法を脳内ヒスタミン動態の研究に応用すべくその基本的条件の検討を行い、視床下部から遊離したヒスタミンのオンライン分析に成功し、ヒスタミン神経系の細胞体の存在する視床下部後部を電気刺激することにより、視床下部前部からのヒスタミン遊離が約2倍に増加することが確認できた。また、成長ホルモン放出ホルモン(GRH)とソマトスタチンは脳内ヒスタミン動態に対して逆の作用を示すことを認め、成長ホルモン分泌にも脳内ヒスタミンが関与していることを示した。さらに、脳内ヒスタミンの涸渇がコルチコトロピンとコルチコステロンの日内変動を平坦化することを確認した。
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[Publications] N.Inagaki: Brain Research. 439. 402-405 (1988)
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[Publications] R.Cacabelos: Endocrinology. 122. 1269-1276 (1988)
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[Publications] N.Inagaki: J.Comparative Neurology. 273. 283-300 (1988)
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[Publications] H.Niigawa: Brain Research. 459. 183-186 (1988)
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[Publications] U.Pirvola: J.Comparative Neurology. 276. 514-526 (1988)
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[Publications] N.Itowi: Neuroendocrinology.