腎膜輸送・体液調節因子とその異常に関する病態生化学的、分子生物学的研究

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 63570137
• Research Institution: National Cardiovascular Center Research Institute
• Principal Investigator: 三宅 可浩 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 部長 (40028353)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 宮野 元成 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 研究員 (40166187) ; 井上 裕康 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 研究員 (40183743) ; 福井 清 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 室長 (00175564)
• Keywords: Dーアミノ酸オキシダ-ゼ / レニン結合蛋白質 / 相補的DNA塩基配列 / 遺伝子発現 / 翻訳調節 / 変異体蛋白質精製 / 変異体蛋白質機能異常 / ロイシンジッパ-構造

Research Abstract

(1)ヒトウイルムス腫瘍細胞及びラット腎臓のcDNAライブラリ-から、レニン結合蛋白質(RnBP)のcDNAクロ-ンを単離し、それぞれの塩基配列を決定した。コ-ドされているRnBP蛋白の一次構造は、前年度得たブタのそれと高い相同性を示し、ブタRnBPについて示された、高い疎水性部位とそれに続く4ロイシン残基からなるロイシンジッパ-構造が、ヒト及びラットRnBPについてもよく保存されていた。また、ブタRnBPについて、ロイシンジッパ-の2ロイシン残基をAspに変換したRnBPを、in vitro及びアフリカツメ蛙卵細胞中で、変異体mRNAから発現させ、このRnBP変異体が、レニンとの複合体形成能及びRnBP2量体形成能を失っていることが示された。この結果から、ロイシンジッパ-構造がRnBPの機能に関与していることが示唆される。さらに、アフリカツメ蛙卵細胞で発現させたブタRnBPは細胞外に分泌されず、細胞質に局在することも判明した。(2)ウサギ腎臓のDーアミノ酸オキシダ-ゼ(DAO)の発現が翻訳レベルで抑制されていること、また、その抑制が、他動物DAO cDNAより長い5'ー非翻訳領域と翻訳開始部位近傍における塩基配列についてのKozakの法則に従わないことによることが、網状赤血球ライゼ-トによる、DAO mRNA及びその修飾RNAからのDAO蛋白発現を調べることにより示唆された。また、Tyrー228、Hisー307をそれぞれphe、Leuに変換するDAO変異体cDNAを作製し、大腸菌で大量発現させ、さらに、その抽出液から変異体DAOの精製を行った。その結果、Pheー228及びLeuー307変異体は、本来のDAOと酵素的性質を著しく異にし、機能発現に極めて重要な残基であることが示された。さらに、マウス腎cDNAライブラリ-からDAO cDNAクロ-ンを単離し、塩基配列を決定し、コ-ドされているDAOのアミノ酸配列が、他動物のDAOと高い相同性を有し、かつ、構造上の特徴が保存されていた。

Research Products

• [Publications] Hiroyasu Inoue,Saori Takahashi,Kiyoshi Fukui,Yoshihiro Miyake: "Leucine zipper motif in porcine reninーbinding (RnBP).and its relation to the formation of an RnBPーrenin heterodimer and RnBP homodimer" The Journal of Biological Chemistry.
• [Publications] Hiroyasu Inoue,Saori Takahashi,Kiyoshi Fukui,Yoshihiro Miyake: "cDNA cloning and expression of human and rat reninーbinding protein" The Journal of Biochemisry.
• [Publications] Kyoko Momoi,Kiyoshi Fukui,Masazumi Tada,Yoshihiro Miyake: "Gene expression of Dーamino acid oxidase in rabbit kidney" The Journal of Biochemistry. 108. 406-413 (1990)
• [Publications] Masazumi Tada,Kiyoshi Fukui,Kyoko Momoi,Yoshihiro Miyake: "Cloning and expression of a cDNA encoding mouse kidney Dーamino acid oxidase" Gene. 90. 293-297 (1990)
• [Publications] Motoshige Miyano,Kiyoshi Fukui,Fusao Watanabe,Saori Takahashi,Masazumi Tada,Masaru Kanashiro,Yoshihiro Miyake: "Studies on Pheー228 and Leuー307 recombinant mutants of porcine kidney Dーamino acid oxidase:expression,purification,and characterization" The Journal of Biochemistry. 109. 171-177 (1991)