1989 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ肺炎の発症機序と治療に関する基礎的研究
Project/Area Number |
63570207
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
田代 眞人 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90111343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田切 孝人 自治医科大学, 医学部, 講師 (80177237)
田中 利典 自治医科大学, 医学部, 講師 (30146154)
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Keywords | インフルエンザ肺炎 / インフルエンザウイルス / 細菌性プロテア-ゼ / 赤血球凝集素(HA) / ウイルスの活性化 / プロテア-ゼ阻害剤 |
Research Abstract |
1.インフルエンザA/豚/33株は、マウス肺内では活性化を受けず、従って肺病原性を示さない。このウイルス株に対する活性化プロテア-ゼを産生している黄色ブドウ球菌3株について、マウスにおけるインフルエンザウイルス-細菌混合感染系を用いて、肺炎惹起の有無を検討した。その結果、プロテア-ゼを産生している細菌の混合感染によって、ウイルスの増殖と肺病変の著名な増悪が認められた。 2.上記の各混合感染系に対して、プロテア-ゼ阻害剤であるロイペプチンを連続的に経鼻投与することにより、肺内でのウイルスの活性化の程度およびウイルス産生量が有意に抑制され、その結果、肺病変の著明な軽減がもたらされた。従って、細菌性のウイルス活性化プロテア-ゼに対する有効な阻害剤を応用すれば、致死的なウイルス性肺炎を治癒しうる可能性が示された。 3.ロイペプチン以外にも、セリンプロテア-ゼ、特にリジン・アルギニン特異的酵素に対する低分子プロテア-ゼ阻害剤であるガベキセ-ト誘導体の中に、細菌性のウイルス活性化プロテア-ゼに対して有効なものが検出され、将来、抗ウイルス剤として検討すべきであると考えられた。 4.平成2年1月から日本全国に流行しているホンコン型インフルエンザウイルスは、従来のものとは異って、病原性が強く、超過死亡も多くなっている。このウイルスの赤血球凝集素は、トリプシン非存在下でも活性化を受けやすくなっており、これが病原性と関連している可能性が高い。今後このウイルス株を用いて、インフルエンザ肺炎の発症機序を解析して行く予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] M.Tashiro: "Comparison of protective effect of serum antibody on respiratory and systemic infection of Sendai virus in mice." Arch.virol.107. 85-96 (1989)
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[Publications] K.Tobita: "Nucleotide sequence and some biological properties of the NS gene of a long carboxyl terminal deletion in the NS gene." Virology. 174. 314-319 (1990)
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[Publications] M.Tashiro: "Organtropism of Sendai virus in mice:proteolytic activation of the fusion glycoprotein in mouse organs and budding site at the bronchial epithelium." J.Virol.(1990)
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[Publications] M.Tashiro: "Altered budding site of a pantropic mutant of Sendai virus,Fl-R,in polarized epithelial cells." J.virol.
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[Publications] T.Odagiri: "Mutation in the nonstructural(NS2)protein of an influenza A virus extragenically derange the replication and expression of PA gene." Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.
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[Publications] T.Odagiri: "Nucleotide sequence of the PA gene of influenza A/WSN/33(HlNl)." Nucleic Acid Res.(1990)
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[Publications] M.Tashiro: "“Genetics and Pathogenicity of Negative Strand Viruses"Pantropic Variant of Sendai Virus." Elsvier,Amsterdam, 420 (1989)