1988 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球の再循環現象を司るレセプター・システムの解明
Project/Area Number |
63570231
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
宮坂 昌之 (財)東京都臨床医学総合研究所, 免疫研究部門, 室長 (50064613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉谷 卓也 (財)東京都臨床医学総合研究所, 免疫研究部門, 研究員 (70207231)
山口 和人 (財)東京都臨床医学総合研究所, 免疫研究部門, 非常勤研究員 (40034988)
佐藤 功栄 (財)東京都臨床医学総合研究所, 免疫研究部門, 研究員 (40124458)
通堂 満 (財)東京都臨床医学総合研究所, 免疫研究部門, 研究員 (40197645)
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Keywords | リンパ球 / 再循環現象 / ホーミング / 内皮細胞 / 細胞接着 / 免疫調節 |
Research Abstract |
リンパ球は二つの循環系、すなわち血液系とリンパ系の間を繰り返し行き来するという再循環現象を示す。われわれはリンパ球が再循環現象を示すために特異的に細胞接着を行う特殊な内皮細胞であるリンパ節内のHE内皮細胞の培養を試み、その株化に成功した。さらに、この内皮細胞とリンパ球とが行う相互作用、細胞接着と細胞下面へのもぐり込み、のin vitroでの定量化を試み、その開発に成功した。この細胞間相互作用の詳細な電顕的観察も行った。また、この培養内皮細胞株を免疫原としてモノクローナル抗体の作製を試み、生体内のHE細胞と反応するもの10種類を得た。このうち、一つは80〜95Kdの内皮細胞膜上にある糖蛋白を認識し、PHA刺激リンパ芽球の再凝集を阻止する能力を持っていること、認識される抗原が内皮細胞のみならず、胚中心を構成する細胞にも存在することから、いわゆるICAM-1(intercellular adhesion molecule-1)を認識する抗体であると考えられる。しかし、この抗体は前述の培養内皮質細胞とリンパ球の相互作用を全く阻止しないことから、現在のところリンパ球-HE細胞の相互作用にはICAM-1分子の直接的な関与はないと考えているが、さらに検討を要する。その他のモノクローナル抗体に関しては、内皮細胞には反応するものの上述の相互作用を阻止する能力をもっていない。現在、マウス,ハムスターを上述の細胞株、およびリンパ節から半精製したHE細胞を用いて免疫し、さらに得られるモノクローナル抗体のスクリーニングをすすめ、抗レセプター抗体の作製を目指している。人工ペブチドを用いた実験では、このリンパ球-HE細胞相互作用においてはintegrin familyに特徴的にみられる接着ペプチド(RGD)の関与が少ないという結果を得ている。
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[Publications] Ise,Y.,;Yamaguchi,K.,;Sato,K.,;Yamamura,Y.,;et al.: European Journal of Immunology. 18. 1235-1244 (1988)
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[Publications] 宮坂昌之、玉谷卓也: 臨床免疫. 21. 173-184 (1989)
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[Publications] 宮坂昌之: "血小板1988-血小板と免疫-" 科学評論社, 18-29 (1988)
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[Publications] 宮坂昌之、桂義元: "Annual Review免疫1989" 中外医学社, 1-9 (1989)