1989 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚中枢線維損傷後の機能的回復に関する神経生理学的研究
Project/Area Number |
63570805
|
Research Institution | TOKYO MEDICAL AND DENTAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
谷口 郁雄 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (60014255)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 英和 小川赤十字病院, 耳鼻咽喉科, 部長 (50163556)
|
Keywords | 再生 / シナプスの再形成 / 神経損傷後の可塑性 / 下丘交連 / 下丘 / 聴覚中枢線維 |
Research Abstract |
両側の下丘を連絡する下丘交連を矢状断すると、マウスの場合、約一ヵ月で交連線維の再生がおこり、しかもそのタ-ゲットである下丘でシナップスの再形成も起こりうることがわかった。この事実は下丘ニュ-ロンの音刺激に対する活動が対側下丘への電気刺激によって種々の修飾を受けることから明らかになった。これをさらに別の方法で確認した。(1)下丘ニュ-ロンの自発放電にトリガ-していろいろな遅延時間をもった電気刺激を対側下丘に与えたところ殆どの場合、順方向に刺激され、交連線維上でインパルス同士の衝突は起こらなかった。即ち下丘ニュ-ロンとのシナップスの再形成が起こったことを示す。(2)ガラス微小電極を用いて細胞内記録により、シナプス電位の記録を行うと、既に報告した細胞外記録による結果から推測されたことが裏付けられ、しかもシナップス・レベルでの非常に複雑な機序に関する情報が得られた。(3)再生した下丘交連の神経細胞をペロキシダ-ゼでラベルすると、正常な対照のものに比べて軸索の走行はかなり乱れていた。(4)これまでの実験結果を基にして、下丘において再結成されたニュ-ロン・ネットワ-クを推測すると、シナップスの機能に関しては正常な対照の下丘におけるニュ-ロン・ネットワ-クと大きな違いはないと思われるが、前者の場合、再生しても軸索の走行が乱れるために下丘のシステムとしても機能に微妙な変化が起こっていることは充分考えられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] I.Taniguchi: "Plastic reorganization after transection of the commissure of the inferior colliculus" Proc.Japan.Acad.58. 181-184 (1982)
-
[Publications] I.Taniguchi: "Axonal regeneration after transection of the commissure of the inferior colliculus" J.Physiol.Soc.Japan. 49. 467 (1987)
-
[Publications] I.Taniguchi: "Targets of the re-established axons of the commissure of the inferior colliculus after its transection" J.Physiol.Soc.Japan. 50. 503 (1988)
-
[Publications] 田中英和: "下丘交連線維切断後のシナプス再形成" Audiology Japan. 32. 411-412 (1989)
-
[Publications] 田中英和: "下丘交連線維切断後に再形成されたシナプスの機能" Audiology Japan. (1990)
-
[Publications] I.Taniguchi: "Axonal regeneration after transection of the commissure of the inferior colliculus,In:Post-Lesion Neural Plasticity(H.Flohr,ed.)" Springer-Verlag(Berlin), 555-563 (1988)