1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63580056
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
河合 弘康 奈良女子大学, 家政学部, 教授 (80026525)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 金次 奈良女子大学, 家政学部, 教授 (20031643)
|
Keywords | 酒種 / 酒種のパン生地発酵特性 / 酒種の微生物相の変化 / 酒種の低温貯蔵性 |
Research Abstract |
(1)酒種のパン生地発酵力が、種酵母の種類によってどのような影響を受けるかを検討した結果、清酒酵母(協会酵母)を種酵母として培養した酒種が、パン酵母、ブドウ酒酵母、ビ-ル酵母を用いた酒種よりもすぐれた液内発酵力および生地膨張力をもつことを明らかにした。また、供試清酒酵母5株間には発酵能に有意の差は認められなかった。 (2)清酒酵母(協会7号)を種酵母として、15〜25℃の各温度で培養した酒種の発酵力は、その培養温度によって著しい影響を受けた。すなわち、20〜30℃で短期間培養した酒種よりも、10〜15℃で5〜7日間培養したものの方が液内発酵力および生地膨張力が大きく、低温下で培養した酒種が、その発酵力および安定性にすぐれていることを明らかにした。 (3)酒種の低温下での貯蔵性は、パン種としての実用的見地から重要であるので、完成した酒種を4℃で貯蔵し、その発酵力と生菌数の経時的変化を追跡した。その結果、原料麹の品質の差異が酒種の発酵力に多少の影響を与えるものの、5〜7日間の低温貯蔵では、酵母の生菌数には大きな変化はなく、また、発酵力も20〜30%の減少がみられたにすぎなかった。したがって、酒種の低温貯蔵はその発酵力維持のために有効であることが判明した。 (4)種酵母無添加の速醸系酒種(乳酸添加種)の培養経過にともなう微生物相の変化を調べた結果、乳酸の添加量が多くなるほど生酸菌および一般細菌の増殖は抑制され、培養時間5〜7日目にそれらの生菌数は著しく減少するが、それに対応してTTC還元性の比較的強い酵母が増加し始め、7日以降になると酒種中の微生物はほとんど酵母菌のみで占められることが明らかになった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 河合弘康: "酒種のパン生地発酵力におよぼす培養条件の影響" 家政学研究(奈良). 25. 15-21 (1978)
-
[Publications] 井口昭子: "酒種のパン生地発酵能と香気成分に関する研究" 奈良女子大学大学院家政学研究科 食物学専攻 修士学位論文. 1-72 (1987)
-
[Publications] 村上真理子: "酒種の微生物相の変化とパン生地発酵力について" 奈良女子大学家政学部 食物学科 卒業研究論文. 1-39 (1988)
-
[Publications] 藤井史子: "酒種中の微生物相の変化とパン生地発酵力との関係" 奈良女子大学家政学部 食物学科 卒業研究論文. 1-36 (1989)