2015 Fiscal Year Annual Research Report
らせんの不斉内孔を利用した光 学活性元素ブロック材料の創製
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
15H00718
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小山 靖人 北海道大学, 触媒科学研究所, 准教授 (10456262)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超分子化学 / 構造改変アミロース / らせんポリマー / 元素ブロック / 空間集積 |
Outline of Annual Research Achievements |
光学活性な有機化合物に様々な元素(元素ブロック)を合理的に複合化することで, 有用な機能性素材が創出される。有機金属不斉触媒、分離・分割材料、円偏光発光性材料がその代表的な例であり、こうした分子の不斉に基づいた機能を発現する素材を以降, 光学活性元素ブロックと総称する。不斉場と無機物の合理的な複合化は、今後の革新的な素材創製においても重要であると考えられる。 らせん高分子は、主鎖や側鎖の不斉場のみならず、その繰り返し構造間で生じる「内孔」や「溝」といった光学活性低分子には存在しない特異な不斉内部空間を有する。そこで我々は特にらせん高分子の不斉内部空間を利用した光学活性元素ブロックの創出を目的に研究を推進している。 本研究では①アミロースの主鎖構造を改変した構造改変アミロースの不斉内孔を用いた光学活性元素ブロック材料の創製と、②剛直らせん構造の合成と特性評価、及び③元素ブロック材料を簡便に合成する高分子合成ツールの開発に分類して研究を推進した。結果として、①主鎖に規則的にスペーサーを導入した構造改変アミロースの合成と特性評価を実施した。また②剛直なC2-キラルユニットを用いた不斉内孔含有らせんポリマーの創出と構造評価も行った。さらに③安定ニトリルオキシドとケテン等価体を同一分子に組み込んだ分子糊であるオルソゴナル反応剤の開発と元素ブロック創製も実施した。その一方、③で用いたツールの基礎化学的研究も進めた。具体的にはニトリルオキシド基の溶液構造は今まで明らかとなっていなかったが、13Cラベル化した芳香族ニトリルオキシドを合成し、その温度可変NMRと温度可変UVを駆使することで、ニトリルオキシド基が低温では共役構造を逃れ、芳香環平面から外れるようなねじれ構造をとることも明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた構造改変アミロースの合成や特性評価について検討を進め、アミロースの不斉内孔の形やサイズはスペーサーの導入間隔によって制御できるということを初めて明らかとしたが、不斉内孔を活用するホストゲスト化学については、検討を十分に詰め切ることができなかった。 一方で、並行して不斉内孔を持つ剛直らせんポリマーの研究や、簡単な元素ブロック材料の合成ツールの研究については十分な成果を挙げ、論文発表することができた。これらを総合して、おおむね順調な進展であると判断しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は特に、構造改変アミロースのスペーサー構造が及ぼす効果を明らかとするほか、ゲストの構造一般性について評価を進める。その一方、1,4-alpha-グリコシド結合型のアミロースだけでなく、異なるグリコシド結合型多糖類についても、らせん内孔形の制御法と元素ブロックの複合化に関する研究を推進する。具体的には1,2-グリコシド型ポリマーについて注力する予定である。1,2-グリコシド型結合のポリマーは主鎖がポリエチレンオキシド型になるため、様々なメタルイオンを認識しながら、溶液中での高次構造が大きく変化することが期待される。こうしたポリマーを刺激応答性ユニットとして活用しながら、有用な元素ブロック材料の創出を目指す。
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Research Products
(8 results)