2015 Fiscal Year Annual Research Report
機能性無機ナノブロックの配向面・形態・機能の制御
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
15H00728
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 伸広 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (90229469)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無機ナノブロック / 水熱法 |
Outline of Annual Research Achievements |
オレイン酸被覆水熱成長法において、オレイン酸と金属イオン比を変えながら水熱合成を行うことで、界面活性剤が表面を覆う比率を変えることにより、様々な形状をもつ高分散性のCeO2ナノブロック、Fe3O4ナノブロック、α-Fe2O3ナノブロックを作製した。 CeO2ナノブロックについてはTEM観察から粒径はおよそ数十nm程度であり、表面の{111} 面, {110} 面, {100} 面の割合が合成時のオレイン酸イオンとCeイオン比で変化していた。十分な数のオレイン酸イオン存在下で結晶成長が行われると本来は不安定な{100} 面にオレイン酸イオンが吸着して成長を抑制する事で{100}面のみからなるキュービック粒子が得られるものの,それよりもオレイン酸イオンが少ない状況で結晶子を成長させると, {100} 面よりも最安定な{111} 面を多く持つブロックが得られた。 Feイオンを含む溶液から作製した試料においては、TEM像より一辺20~30 nmのキューブ状ブロックと大きさ7~8 nmの球状キューブが形成されていることが分かった。XRDの解析から、Magnetite(Fe3O4)およびHematite(α-Fe2O3)に相当するピークが検出された。詳細なFFTの結果より、キューブ状ブロックが弱磁性のα-Fe2O3で微小な球状ブロックがFe3O4であることが分かった。Fe2+イオンのみを用いて形成したオレイン酸錯体と溶液を分離した後にオレイン酸錯体のみにアンモニア水を滴下後、両者を再混合したものを水熱するプロセスで形成した試料では5~7 nmのキューブ状フェライトブロックが多く含まれていた。一方、Fe2+/Fe3+イオンを用いて上記のプロセスで、オレイン酸錯体にアンモニア水を滴下した物のみを水熱するプロセスではキューブ状α-Fe2O3ブロックが多く形成される傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
配向面を制御したCeO2ナノブロックの作製、TEM画像による高速フーリエ(FFT)解析を行うとともに、シミュレーションによってオレイン酸基が表面につくことによる各配向面の安定性の変化についても検証を行うなど、確実に進捗している。当初予定していたオレイン酸の代わりにリノール酸やステアリン酸を用いる実験よりも、CeO2ナノブロック、Fe3O4ナノブロック、α-Fe2O3ナノブロックいずれにおいても配向面制御を可能とする方針を確立を優先して研究を進めたものの、シミュレーションによる検証など当初予定していなかった内容も進んでいることから、結果としておおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
CeO2ナノブロックについては、界面活性剤の種類とCeイオンとの濃度比を変えることにより、オレイン酸の時と同様にブロック表面にもつ配向面の制御を行うとともに、成長過程における界面活性剤の役割についてさらに検証する。 Fe系酸化物については、鉄イオン源として、塩化鉄(Ⅱ)と塩化鉄(Ⅲ)を用いてFe2+とFe3+を混合した状態の溶液からの水熱処理ではα-Fe2O3とFe3O4の混相となったことから、使用するFeイオンの価数とその混合比、滴下するアルカリの種類、pHと滴下するタイミング条件等を変えることにより、それぞれのブロックを単独で得るプロセス条件の最適化を進める。
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Research Products
(3 results)