2015 Fiscal Year Annual Research Report
配列化バナジウム錯体を介した反応場・分子認識場の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
15H00748
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大谷 亨 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10301201)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バナジム / デンドリマー / デンドロン / グリセロール / 元素ブロック / 自己組織化 / リポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、グリセロールをベースに枝分かれ状にしたポリグリセロールデンドリマー(PGD)やグリセロールデンドロン(GD)をベースとしたバナジム錯体元素ブロックを調製し、さらに自己組織化することによる触媒反応場と分子認識場の構築を目的としている。 GDを有機分子とし、無機元素にバナジウムを用いた元素ブロックの調製を試みた。三座配位である四価のバナジウム錯体から最小単位のGDであるグリセロールを配位させることにより五価のバナジウム錯体の形成をUV-VIS、1H-NMR、 ESRスペクトル測定により確認した。さらに、世代数の異なるGDを用いたバナジウム錯体を調製し、同様に確認することでGD-バナジウム元素ブロックの調製に成功した。ピロガロールを基質とした酸化反応触媒としてこれらの元素ブロックを使用したところ、1,2-ジオール配位効果によるププロガリン(酸化体)への酸化反応が増大することを見いだした。 また、自己組織化に鑑みて、GD―リン脂質(1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine(DSPE))誘導体を調製した。得られたGD修飾リン脂質を用いてリポソームを調製したところ、各リポソーム懸濁液のZeta電位の値から、リポソーム表面への分子修飾が示唆された。また、TEM観察からもリポソームの調製の確認ができた。GDの親水性(世代数)と水和との関連性について、細胞内取り込みとの関連性も検討したところ、世代数の低下による細胞内取り込みの向上が見られた。このことは、GD水酸基の水素結合性との関連が示唆された。 以上のように、バナジウム元素ブロックと自己組織化の両面から本研究を推進することによって、1,2-ジオールをベースとした触媒反応場の構築の基礎的知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グリセロールデンドロン(GD)をもとにしたバナジウム錯体の構造解析について進めることができ、モデル触媒反応により元素ブロック化の効果を確認できたことは当初の予定通りである。錯体の安定性は不明であるが、触媒効果実験の結果から、元素ブロックとしての機能を呈示できる程度の安定性があると判断でき、こちらについても予定通りの進捗であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
バナジウム錯体の構造解析においてGD世代数の増加に伴う化学量論数のばらつきが生じることがあるので、この取り扱いについては検討を進める。自己組織化以外にも。モノマー化、ポリマー化を行うことで「元素ブロックポリマー」としての触媒機能についても検討していく。 また、班員との共同研究でバナジウム以外の元素ブロックの調製についても今後進めていく予定である。
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Research Products
(12 results)