2015 Fiscal Year Annual Research Report
構造多様性ホスフィンブロックを基盤とする機能性高分子の創成
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
15H00754
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
林 実 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (20272403)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホスフィンポリマー / 合成化学 / 高分子合成 / 触媒・化学プロセス / クロスカップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度にはまず、ホスフィン含有高分子化合物合成のための基本反応を確立し、合成できるホスフィンブロック高分子の全体像を把握するため、モデル系基質を用いて、重合反応挙動について検討を行った。 2官能性モデル基質を用いた縮合重合の検討を行った結果、主鎖にホスフィン部位を含むポリマーが得られ、反応時間とともに得られるポリマーの分子量は増大したが、Mnは約5千程度以上は伸びなかった。このため、予め両方の反応性部位をもたせたモノマーを合成し、Pd錯体を開始剤とする触媒移動型重合の検討を行った結果、ある程度ポリマー分子鎖の伸長は見られたものの、期待した分子量分布制御はできておらず、ホスフィン主鎖ポリマーの効率的合成には、さらなる重合反応の改良のために今後も検討が必要である。 一方、得られたホスフィンポリマーの主鎖リン原子上でのクロスカップリング反応は円滑に進行し、ポリマーのポスト機能化やクロスリンク等の可能性を示唆する結果が得られており、今後もホスフィンポリマーの機能化を検討していく予定である。 本重合系は、オリゴマーの逐次合成が可能であるが、異なる置換基を連結するとリン上に発生するキラリティのため複雑なジアステレオマーが生成する可能性がある。このため、リン上のキラリティの制御が必要であった。そこで本年度当初計画に加えて、酵素を用いて合成した光学活性ホスフィンカップリング前駆体を用いた検討を行い、立体特異的クロスカップリングが可能であることを示し、この問題を解決した。 さらに、逐次合成やデンドリマー合成の効率化に必要な技術であった複数のハロゲン化物の選択的反応に必要なカップリング触媒の開発についても検討し、ヨウ化物、臭化物それぞれに対応したカップリング触媒の開発に成功し、これを用いてホスフィン分岐G3デンドロンの効率的合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定の縮合重合の最適化が終わっておらず、このため得られたポリマーの反応やブロック共重合についての検討ができていないが、当初計画にあげていなかった基本反応の高性能化、すなわちキラリティ制御や高活性触媒開発に取り組んで成功しており、今後の重合反応にフィードバックできる多くの知見が得られている。 本研究の研究題目になっている構造多様性を持った本格的なポリマー合成に取り組み、さらにその機能発揮について検証していくのは平成28年度の予定であり、平成27年度における計画であった、ホスフィンブロック完成のために必要な基礎的反応の高性能化と重合反応・逐次合成の検証は達成できており、概ね順調な進展状況であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、平成27年度に検討したホスフィンブロック高分子化合物合成の知見を元に、研究題目にある通り、構造多様性を持ったホスフィン含有高分子化合物の合成と反応、機能発揮について検討する。 特にポリマー中に残る反応性側鎖を利用したポスト機能化やグラフト重合、クロスリンク等の検討を行うとともに、ホスフィンに由来する機能発揮、特に機能化触媒担体やデンドリマー等の独特の反応場提供、光機能化ポリマーなどについて、従来法で合成できない本手法ならではの構造多様性ホスフィンポリマーの特徴を発揮出来る新材料開発に取り組む。
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Research Products
(7 results)