2015 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素窒素含有共役系を前駆体としたBCN元素ブロック材料の創製
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
15H00762
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 克規 中央大学, 理工学部, 助教 (60455350)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機無機ハイブリッド / グラファイト / 共役系 / 有機ホウ素 / 有機典型元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラファイトの炭素原子の一部をホウ素と窒素に置き換えた材料(BCN材料)は、グラファイトとは異なる電気的特性、金属のインターカレーション特性などを有し、燃料電池電極、金属イオン電極やキャパシタなどへの応用が期待されている。このBCN材料の組成比を制御することができれば、様々な物性を持つBCN材料が得られると期待される。そこで本研究では、様々なBN前駆体を元素ブロック前駆体として設計し、これらの焼成により新奇BCN材料を合成する。得られたBCN材料における前駆体構造との活性相関の解明を目的とする。BN前駆体のB/C/N比、BNの位置構造、BN比を制御することで、(1)低BN比BCN材料、(2)活性なホウ素、窒素部位を持つBCN材料、(3)ホウ素比の高いBCN材料などの合成手法の確立と最終的な目標として高導電性や半導体特性などを有する元素ブロックBCN材料を創製することを目指す。 平成27年度には、この目的に沿って研究を行い、ボラベンゼン-ピリジン錯体の焼成によるBCN材料の合成を行った。ボラベンゼン-ピリジン骨格に置換基を導入することで様々なB/C/N比を持つ前駆体を合成し、その焼成に取り組んだ。その結果、結晶性の低いBCN材料が得られることをX線回折により明らかにした。また得られるBCN材料の組成比は前駆体であるボラベンゼン-ピリジン錯体の組成を反映し、炭素比の多い前駆体の焼成からは炭素比の多いBCN材料が、窒素の多い前駆体からは窒素比の多いものが得られることがX線光電子分光法により明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではホウ素窒素含有有機小分子前駆体のB/C/N比、ホウ素と窒素の位置構造、B/N比を制御することで、(1)低B/N比BCN材料、(2)活性なホウ素と窒素中心を有するBCN材料、(3)ホウ素比の高いBCN材料の合成を研究する。前年度には様々なB/C/N比を持つホウ素窒素含有有機小分子前駆体を合成し、その焼成により得られるBCN材料の組成比およびその結晶性について研究を行った。前駆体骨格として種々の置換基を有するボラベンゼン-ピリジン錯体およびボリルアミノピリジン骨格に着目して焼成を検討した結果、結晶性の低いグラファイト状のBCN材料が得られることがX線回折により明らかになった。また焼成により得られたBCN材料の組成比についてX線光電子分光法により分析を行ったところ、前駆体小分子のB/C/N比を変更することで、得られるBCN材料の組成が変化することも明らかとなった。これまでの検討により得られたBCN材料についてより詳細な物性解析を行いつつ、さらにホウ素比や窒素比を増やしたB/C/N材料の合成を検討するのが本年度の計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
BCN材料の炭素に対するホウ素、窒素の比率が大きくなれば、窒化ホウ素のように絶縁体となり、また炭素の比が大きければグラファイトのような導電性を示す。低BN比を持つBCN材料は炭素比が大きくいため導電性が高く、電子材料として有望であると期待されている。これまでに本研究過程で合成したB/C/N材料はホウ素と窒素の含有比が低いため、良好な導電性を示すと考えられる。そこで得られたBCN材料の導電性について本年度は研究を行う計画である。また得られたBCN材料のX線回折から結晶性が低いことが示唆されており、活性炭のような大きな比表面積を持つ可能性がある。そこで比表面積測定などにより、これらの表面構造について考察を行う。BCN材料に含まれているホウ素のルイス酸性、窒素のルイス塩基性に由来するガス吸着特性の発現を検討する。この検討から活性炭のような比表面積とホウ素と窒素由来の特異的なガス選択性を持つ炭素材料への展開を検討する。またこれまでの検討からホウ素窒素含有小分子を用いた焼成において、目的の熱分解とあわせて昇華が併発し、その収量が減少していることが示唆されており、合成過程における問題点となっている。この問題についても前駆体の構造を顕著に変化させずに熱分解挙動を制御する目的でハロゲン等の官能基の置換を検討する。容易に熱分解する置換基を導入することにより、分解温度を低下させ、効率的なBCN材料の合成法を確立する。
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Research Products
(20 results)