2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ反応場における気相重合と元素ブロック共役高分子の構造・機能制御
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
15H00766
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
須賀 健雄 早稲田大学, 高等研究所, 助教 (10409659)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 気相重合 / 共役高分子 / チオフェン / ホール輸送材料 / 光電変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
共役高分子を簡便かつ各種基材にその場(in-situ)形成できる「気相酸化重合」に着目し、特にヨウ素などの気相酸化剤を用いることで各種元素ブロック(Si, Seなど)含有π共役モノマーへと対象を広げ、低バンドギャップ・移動度高い高分子半導体の新しい形成法として提示してきている。今年度は、各元素ブロック共役高分子を対象として、近年注目を集めているペロブスカイト型太陽電池の電荷輸送層として展開した。また、多分岐連結した多孔性元素ブロック共役高分子などを、新たな電荷輸送材料として検討した。 1.元素ブロック高分子をホール輸送層としたペロブスカイト太陽電池 各元素ブロックをコア部位に有するチエニル誘導体を合成、ヨウ素を酸化剤としてそれぞれ気相重合し、7種の元素ブロックポリマーを得た。いずれも-5.2~-5.5 (eV)のHOMO準位、10-5 (cm2/V s)のホール移動度を有し、逆型ペロブスカイト太陽電池のホール輸送層として適用した。側鎖にBrを有するポリ(ターチオフェン)において最高変換効率10.7%を得た。 2.多分岐連結した多孔性元素ブロック共役高分子の合成 剛直かつ三次元連結した多孔性共役高分子は、光補集、蓄電、ガス分離膜への応用が期待される。アモルファスで異方性のないホール輸送能と、ハイブリッドナノ粒子形成場を兼ねた多孔性共役高分子の創出を目指し、チオフェンを連結ユニットとする多置換誘導体の溶液および気相酸化重合を検討した。トリス(ターチエニル)ベンゼンを合成、塩化鉄(III)またはヨウ素を酸化剤とした溶液重合で汎用有機溶剤に不溶かつ多孔性のネットワークポリマー(BET比表面積1200 m2/g)を得た。また気相重合では平滑な橙色薄膜を与え、ペロブスカイト太陽電池のホール輸送層に適用可であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気相酸化重合を各種共役高分子薄膜のその場形成法として確立することで、置換基がなく成膜性に乏しい共役高分子も薄膜として得られ、従来の有機薄膜太陽電池のドナー層としての適用からペロブスカイト太陽電池のホール輸送層として適用することで各元素ブロック共役高分子材料の新たな用途開拓が期待される。 また、同じA02班の京都大学植村卓史准教授との共同も順調に進み、MOFなどナノ反応場でのターチオフェンの気相重合に取り組み、その場(in-situ)重合法の利点を引き出している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度より展開している多分岐・多孔性の元素ブロック共役高分子について異方導電性を評価し、従来の直鎖ポリ(ターチオフェン)と比較することでアモルファスな共役高分子薄膜の電子物性について議論する。また、引き続きペロブスカイト太陽電池のホール輸送層として素子構成の最適化を行う。 MOF中で形成されたポリ(ターチオフェン)とナノ反応場を介さない従来のポリ(ターチオフェン)の電子物性についてconductive AFM, Kelvin Probe Force Microscopyを用いて評価・比較する。
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