2016 Fiscal Year Annual Research Report
コンパクト天体連星合体におけるr過程元素合成と電磁波放射
Publicly Offered Research
Project Area | New development in astrophysics through multimessenger observations of gravitational wave sources |
Project/Area Number |
15H00782
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
関口 雄一郎 東邦大学, 理学部, 講師 (50531779)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 宇宙物理学 / 中性子星 / 数値相対論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度までの研究に引き続き、連星中性子星合体のニュートリノ輻射流体シミュレーションを行った。最近発見された連星パルサーJ0453+1559は、太陽質量の約1.2倍と1.6倍の中性子星からなるが、このような大きな質量比を持つ連星はこれまで発見されておらず、したがって合体過程の研究も行われていなかった。そこで、本研究では、このような高い質量比を持つ連星(太陽質量の1.25倍と1.55倍、および1.25倍と1.65倍)を初期条件とした。中性子星の状態方程式としては、SFHo と呼ばれる比較的柔らかい状態方程式を採用した。 いずれのモデルにおいても、潮汐相互作用による質量放出が卓越するため、放出物質は主として連星軌道面方向に集中しており、またその組成はきわめて中性子過剰度であった。一方、子午面方向には、ニュートリノと物質の相互作用によって中性子過剰度がやや小さくなった放出物質が認められたが、その総質量は潮汐相互作用によるものよりも十分に小さかった。これは、連星質量が大きく、合体後すぐにブラックホールが形成されるため、ニュートリノ放射領域がブラックホールに飲み込まれ、ニュートリノ光度が下がってしまうためである。放出物質の総量は、太陽質量の1%程度であった。 質量比が大きいほど潮汐相互作用によって放出される冷たい (従ってニュートリノ相互作用の影響を受けない) 中性子星物質の割合が増えるため、より中性子過剰の物質が放出されると予想されていたが、本研究によってその定量性を明らかにすることができた。本研究課題で得られた一連の結果によって、放出物質の時間進化を背景場として元素合成計算を行い、現在観測によって示唆される連星質量比分布によって、太陽組成が再現されるかどうかについて調べることが可能となった。
|
Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(7 results)