2015 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性ポリマー製ECMによる細胞の自動組立と分解を駆動力とする分子ロボパーツ化
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Molecular Robots equipped with sensors and intelligence |
Project/Area Number |
15H00796
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
福島 和樹 山形大学, 理工学研究科, 助教 (70623817)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生分解性ポリマー / ブロックポリマー / 自己組織化 / 分子ロボット / 細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,細胞を材料として扱う試みが増え,分子ロボットのパーツとしても有用性が期待される。サブミリサイズの細胞組織の構築はトップダウン手法が多く検討されているが,コストと大容量化において不利な課題を残す。そこで本研究では,水系において超分子会合し,配向性を伴って異方的ナノ会合体を形成する生分解性ブロックポリマーを細胞培養系に添加し,その形状異方性よって細胞の集合を制御するボトムアップ手法を検討し,秩序的な三次元複合組織の構築を目指す。また,ポリマーの選択的分解によってポリマー細胞複合体(PCC)の変形を誘導し,これを,スライム型分子ロボットの動力として応用することを検討する。 平成27年度は,まず既報[Angew. Chem. Int. Ed., 2009, 48, 4508-4512]でナノチューブを形成することを確認しているポリマーの類似体となるメソゲン様分子4UMBAを含むブロックポリマーを合成し,疎水ブロックの結晶性によってナノ構造体のアスペクト比が変化すること,ポリエチレングリコール(PEG)以外の親水性ポリマー(PCEA)[Nature Chem. 2011, 3, 409-414]の導入が可能であることを見出した。また,異なる含4UMBAブロックポリマーの混合によって,形状,特にアスペクト比分布の均一化がある程度可能である予備的知見も得られた。 そして,これらのナノ会合体のヒト線維芽細胞(NHDF)の培養系への添加効果についても調べ,新奇な知見が得られたため,特許出願の準備を進めており,また,5月にカナダで開催される10th World Biomaterials CongressのLate-Breaker Abstracts on Emerging Concepts in Biomaterials Scienceとして審査後,口頭発表を認められ,発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度の当初目標であった,複数のブロックポリマーの合成と,そのナノ会合体の解析はおおむね完了し,さらに形状やサイズの制御に関連する知見も得られた。 また,細胞実験にも移行することができ,平面培養系ではあるが,ナノ会合体の添加の影響が有意に確認できたことから,3次元系での効果も期待される。 実験環境,施設面に関する予定が若干影響したこともあり,複数の細胞を用いた実験にまでは至らなかったがおおむね当初計画を遂行できていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,細胞培養系におけるナノ会合体の挙動の解明に注力するとともに,当初計画通りPCCの分子ロボパーツ化についても検討する。 一方で,領域内の計画班,公募班の研究者との情報交換や議論を通して,ナノ会合体またはポリマー自体の分子ロボットとしての有用性が認知されたため,リポソームやDNA構造体の技術との複合化や機能実装についても検討していく。 さらに,階層的自己組織化の秩序制御技術の構築に関して,計算シミュレーションを専門とする領域内研究者との共同研究も開始済みで,ポリマーの会合挙動の基礎の解明を軸として,得られた知見をもとに,当初予定のバイオ応用だけでなく,電子デバイスへの応用についても検討していく。
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Research Products
(8 results)