2015 Fiscal Year Annual Research Report
膜穿孔タンパク質と熱応答磁性ナノ粒子による環境感応型リポソーム駆動システムの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Molecular Robots equipped with sensors and intelligence |
Project/Area Number |
15H00797
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
根本 直人 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60509727)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | リポソーム / ペプチド / 進化工学 / チャネル / 分子ロボティクス / 磁性体ゲル / 界面化学 / ソフトマター |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲル修飾磁性 ナノ粒子が温度、イオン、ペプチド、タンパク質に応答し凝集することで外部磁場 に駆動される性質を利用して、これをリポソーム内に封入した後、リポソームにポア形成させ ることで、リポソーム外液(タンパク質等を含む)からの物質流入により、リポソームが磁場 により駆動される他律ロボット型リポソーム運動システムを構築することを目標としている。ゲル修飾磁性 ナノ粒子はある特定の温度や塩濃度によって凝集する性質があり、このことによりそれまで分散状態で磁場によって影響を受けない直径100 nmのビーズが凝集することにより500 nm以上に凝集する。このため、熱的なブラウン運動に打ち勝ち重力を含む外場(磁場)により運動するようになる。今回、この温度感受性ゲル磁性ナノビーズをリポソームに封入し、温度依存的環境下でリポソームの運動を観察した。東京大学の豊田太郎准教授との共同研究で特定のリポソームのみをYAGレーザーにより顕微鏡下で照射することで温度変化させてその運動変化を観察した。これにより、リポソームを静置させるスライドガラスの温度調整と勾配制御が課題になることが判明した。 この結果を踏まえ、転移温度以上(25℃)と転移温度以下(4℃)で一定磁場の下で比較した結果、明らかに移動速度に違いが生じることを見出した。これによりゲル修飾磁性ナノ粒子のリポソーム封入の最適化と温度によるリポソーム駆動条件の検討は終了した。 また、リポソーム結合ペプチドLB-1に関して、東京農工大の川野准教授との共同研究により、膜穿孔能力の評価を行った。この結果、興味深いことに、DOPCを用いたリポソーム膜の外液側、内液側にLB-1を加えた際に、数ナノメートル径の穴が開くだけではなく、外液中のみにLB-1を加えたときにも穴が開くことが分かった。これはフリップフロップ的な挙動をLB-1がしている可能性を示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分子ロボティクスの班を超えた共同研究のおかげで、複数の研究室との交流が盛んにおこなわれた。その結果、当初予想された以上の新たな展開が生じ、新たな発見も複数あった。
|
Strategy for Future Research Activity |
複数の新たな発見、具体的には、1)LB-1等のリポソームへのポア形成能、2)温度感受性ゲル磁性体ビーズのイオン強度による逆転現象 3)セルソーター(FACS)を利用したリポソーム結合ペプチドの淘汰システムの有効性、などが挙げられる。また、温度感受性ゲル磁性体ビーズをリポソームに封入した際に、温度変化により速度が異なることを見出したため、さらにイオン濃度によっても運動を変化させることを考え、実験を進める方針である。
|
Research Products
(7 results)