2015 Fiscal Year Annual Research Report
圧力を知覚し機能発現する人工細胞型ロボットの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Molecular Robots equipped with sensors and intelligence |
Project/Area Number |
15H00826
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤原 慶 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (20580989)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 合成生物学 / 分子機械 / 発現制御 / 人工細胞 / 分子ロボティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人工脂質二重膜小胞(リポソーム)に生化学反応溶液を内包した物質を人工細胞と捉え、外部浸透圧とリポソーム内部浸透圧の差による内部高分子濃度の変化をスイッチとして機能発現する分子ロボット創成を目指している。この目的のために、本年度は生化学反応における酵素濃度量依存性を利用し、高分子濃度変化による生化学反応のONスイッチの創出を目指した。高分子濃度を反応開始閾値とする無細胞タンパク質合成系をリポソームに内包し、GFP遺伝子の発現を試みたところ、反応開始の濃度依存性とリポソーム内におけるタンパク質合成がそれぞれ観察された。そこで、反応閾値以下の高分子濃度の無細胞タンパク質合成系を内包したリポソームを作製し、外部浸透圧が内部浸透圧より5倍高い条件で内部高分子を濃縮、その後GFPの発現を蛍光顕微鏡にて観察した。結果、GFPだけでなくmCherryタンパク質を発現させた場合も、外部高浸透圧条件下でのみ有意な蛍光上昇が観察された。しかし、この傾向がGFPやmCherry由来のものであるかはさらなる検証が必要な状態である。 一方、次年度に行う予定であった浸透圧にともなう人工細胞変形の制御について進展があった。様々な内部高分子濃度を持つリポソームを外部高浸透圧条件に置いたところ、変形パターンに差が現れることが明らかになった。この現象を利用すれば、高浸透圧場によるONになる機能時に、同時に相応しい形状となる手法を開発できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外部高浸透圧条件による無細胞タンパク質合成系の活性化に関しては本年度で完成させる予定であったが、少し遅れが出ている。その代わりに、当初は次年度に行う予定であった内部高分子濃度による人工細胞変形運命の制御に対する興味深い知見を得ることができた。それゆえに、総合的に捉えると、研究は順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
リポソームを浸透圧処理の前後でトラッキング観察することにより、高浸透圧場により内部生化学装置がONにシフトすることを確認する。また、より低濃度の内部条件からスタートし、大きな浸透圧差によって内部濃度を引き上げることでスイッチングを可能とする条件を見出す。この成果と変形を組み合わせ、よりロボットらしく外界に応答する人工細胞になるよう系を整える。
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Research Products
(2 results)